ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

タニス・リー「悪魔の薔薇」

悪魔の薔薇 (奇想コレクション)

悪魔の薔薇 (奇想コレクション)

この人も随分前から名前を聞いてる大家だけれど、読むのは初めて。解説によると多芸多彩な作風の中から幻想怪奇で耽美華麗な風合を集めた短篇集とのことでダークファンタジーやホラー風味の作品集です。

ジェンダーを意識せざるを得ない作品が揃っていて大抵の場合その手の――特に国内の――作品ってどうしても肌に合わないことが多いのだけれど、本書の場合は合わないを通り越して肌が粟立つような作品が多いぞ(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

それは例えば「愚者、悪者、やさしい賢者」がアラビアン・ナイト風味な世界で三者三様の兄弟(三匹のこぶたですな)お伽話で最後は悪い魔法使いがこらしめられてめでたしめでたし。でも一番スゲェのは「ばあや」の意思と行動だ。みたいなところだったり、表題作「悪魔の薔薇」が少女が男に(性的な意味で)破滅させられる作品だけどこういう手法はとても男では書けない。絶対に遠慮する。ようなとこだったりする。


女ってコワイヨー Σ(゚д゚lll)


でその反動なのか男性キャラクター諸氏は妙に可愛い。いいヤツぞろいだ。(・∀・)人(・∀・)ナカーマ! みたいな気持ちになる。「青い壷の幽霊」に登場する「十の絡繰の主人、ヴァイムの都の魔道王スビュルス」の健気さはなんだか泣けてくるなあ。おにゃのこにそでにされるのが人生唯一の楽しみってあんまりだな

キャラクターよりも作風の華麗さこそ彩人の業で、まったく架空の、異世界SFのように見えた「美女が野獣」がフランス革命のマラー暗殺を下敷きにした一種の寓話だとかまあいろいろです。えろいよ!