ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

平井吉夫 編「スターリン・ジョーク」

スターリン・ジョーク (1983年)

スターリン・ジョーク (1983年)

ジャンルは適当。20世紀の名著の一つで共産主義体制下の旧ソ連・東欧地域で語られていたアネクトード(小咄)を丹念にあつめたもの。河出文庫版もあるそうだけど、見たことないなー*1

むかーし一度読んで随分と印象が強く、いまに至るもこころのネタ帳では重要な位置を占めている一冊を、古書店でたまたまみかけて600円と超安価で手に入れましたウラー!!久方ぶりに読み返すとやっぱり面白いんである。日本の政治風刺など足元にも及ばぬ。やはり冗談は圧政下でこそ輝くものだろうか?歌うことと笑うことはどんな人間でも最後まで持ち合わせている自由なのです。ジョークひとつで銀河を救う女の子のアニメはいつ出来ますか!?

ネット社会の現在でも「モンティ・パイソン」とならんである種の人々の間では無言の共通理解となってる感があるので、冷戦時代に興味が無いというお若い方々でもきっと役に立つことはあります。こんな良書は入手難とはいかがなものか。

シベリアに生えている樹の数よりは少ないけれど、それでも数多くあるジョークの中からお気に入りのひとつを以下に。

アメリカ人とフランス人とロシア人が幸福について語り合っている。
アメリカ人が言う。
「私は破産寸前だった。株式市場は今世紀最大に落ち込んでいた。突然、仲買人から電話がかかってきた。私は一夜のうちに百万ドルももうけていたんだ。これが私の最大の幸福の瞬間だったね」
フランス人。
「ぼくは何カ月もふられつづけていた。ところが、ある日彼女は願いを受け入れて、ぼくのものになったんだ。これがぼくの最大の幸福だったね」
ロシア人。
「午前五時、だれかがドアをノックする。私は真っ青になって震えていたが、どうしようもない。とうとうドアを開く。外には三人のGPUが立っている。

 『きみはステパン・グリゴロビッチ・チュィコフだね』
 『いいえ、その人なら一階上に住んでます』

この時が、わが生涯でいちばん幸福なときだったなあ」


中ソ対立時期のジョークに「全世界を飢餓がおおうのはいつか? 中国人がスプーンで食べはじめたとき」なんてのがあって、笑えないけど笑ってしまう…