- 作者: 綾辻行人
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/10/30
- メディア: 単行本
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綾辻行人は大昔に館シリーズを二作ほど読んだ記憶があるけれど、ホラーの分野は初めて。矢張り大昔に田中芳樹が「夏の魔術」で言ってた推理小説とSF小説と怪奇小説それぞれの、問題解決方法の違い…みたいなことを考えながら読む。「推理小説なら解決は合理的であるけれど、怪奇小説なら解決は超常的である」だったか、まあそのようなことを念頭に置いて。
学校という物がそれなりにマジカルな空間であるってことは言い尽されて久しいけれど、久しぶりに学校のマジカルさを真っ正面から捉えたような、そんな印象。恩田陸の「六番目の小夜子」asin:4101234132や上遠野浩平の「ブギーポップは笑わない」asin:4840208042などを思い出すのは年寄りの証ですか(笑)そういえばこの二人もミステリーも書けばファンタジーも書く人だ。恩田はミステリーの方がよいし上遠野はファンタジーの方が面白い。対照的ではある。
綾辻はミステリー寄りのひとなんだなぁと、本作の中核であるフーダニットのトリックを読んで思った訳で、単純にこの部分に関してだけ言えば、実はそれなりに予想できる解決でした。最も単純に推理小説ではないので「誰が犯人」というのはあんまり意味が無い。というか「犯人」では、ない。マンガになっててアニメと実写でダブルの映像化予定だとか聞いたんだけどさてこれをどう解決するのかな?と、その辺はちと気になりますね。
多分、この話の怖さは全体に流れる「民主主義」的な空気にあるのだと思う。多数決と前例主義で運営される社会。そこに紛れる転校生その他の「異人(アナザー)」たち。誰が勝利して何が敗北したのかはともかくとして、過去が改竄されていくことは止められない…とかね。
学校というのはそれなりにマジカルな空間だけれど、我々は大抵のことを忘れてしまうものですね。
ああでも、このお話って1998年が舞台なんだけど、あの頃の携帯電話は電波状況悪かったなーとか思いだした。まだ使い慣れてなくてよく話の腰を折られたりしてね。そんな感覚を共有し得る世代ってのも、それなりに幅の狭い存在だったりするのかな??
それで…、だ。ここから先の話は本書とは直接関係が無い。関係が無いがこれまで誰にも話したことが無いことを語る。ネットでも実生活でも、この話は今まで誰にも明かしたことが無いんだ。
綾辻行人という作家は大昔に「十角館の殺人」asin:406181320Xを読んで随分と面白かった。本棚の奥の方にそのまましまいこんでたハズのその本を、しばらく時間が過ぎてから(10年ぐらい経ってたかなあ)さて久しぶりに読み返してみるかと取り出してみたら…
何故だかそれは続編にあたる「時計館の殺人」asin:4061815504だったのだ!これは一体どういうことだ!?
現実が怪奇小説であればこれは何らかの超常現象である。
現実が現実であればこれは何らかの痴呆症状である…
((;゚Д゚)ガクガクブルブル