ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

戸高一成編「証言録 海軍反省会2」

証言録 海軍反省会〈2〉

証言録 海軍反省会〈2〉

前回の続き。結局10年計画で全部の議事録を刊行する運びになったそうでまことに結構なことです。それはそれとしてNHKスペシャルを書籍化してもいいんじゃないかと、思わなくもない。昔はよく有りました。海上護衛のやつとか面白かったよな。

今巻は第11回から20回までの海軍反省会が文字起こしされている。番組でも触れていた「宮様」将校に対する人事登用の問題を始め教育制度や潜水艦運用に対する無定見など「問題視」される点がいくつも指摘される一方で、それらの事柄が「悪かったから負けた」のか「負けたから悪かったのか」、悪いとは何に対しての「悪い」であるのか「良い」選択肢はあったのか?のように、この会議の趣旨根底に関わる発言も見られて前巻よりも深い内容に感じられる。このまま進んでほしいものだな。

あれが悪い誰がよくないという指摘は度々見られ、さりとて俺が悪いと言いだす人はやっぱり居ないものだなー。

(前略)パールハーバーでは海が浅いから日本の魚雷でやってみても沈みはしない。ほとんど一瞬、だけどあとは全部生き返らせちゃった。そして後でアメリカの機動部隊と一緒になって戦する。だから、これは何も役に立ってない。
 ところが、逆に今度は不利な点がある。アメリカの海軍の一般の常識としては、飛行機では戦艦に対しては致命傷を与えられないというのが常識、戦艦を沈めるにはやっぱり戦艦の巨砲じゃなくちゃ駄目という考え方だった。日本もそんなふうに。ところが日本の航空戦略は魚雷をもってすれば戦艦でも何でもすぐに沈めるんだと。これをアメリカに教えてやったようなものだ。


果たして日本海軍の機動部隊が開戦劈頭に米海軍戦艦部隊を補足撃沈せしめるような機会を成し得たかどうかはともかく、黒島亀人が嫌われてるのはよくわかったw 漸減作戦を意図した艦隊を整備しながら実戦ではそれをやらなかったのは図上演習でことごとく青軍敗北したからだったか、結局のところこれら諸問題の解答って

今にして思えば英米を同時に想定敵国にするなんていうことは、国防方針は初めから成り立たなかったんであるという事

に、尽きると思います(・ω・)ノ


そんで開発者が言うほど九一式徹甲弾の水中直進性って効果あったんだろうか。このひと「空母ガンビア・ベイ」でも一文寄せてたけど。

なお本文ではすべて発言者名も記録されていますが、当記事ではその点書かずに済ませようと思います。