- 作者: 伊藤計劃,早川書房編集部
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/03
- メディア: 単行本
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この本はズルい。小説は短編が2本しか載ってないししかも完成してるのはひとつだけで残りの98%はブログの再録だ(1%はマンガだ)そこがズルい。闘病記録だ。「余命一ヶ月の花嫁」みたいなものでズルい。いま思ったけど「余命30秒の花嫁」ってのはどうか、それはギャグか。
死んじゃったのはズルいよ。もっと長生きしていろんなことを語ってほしかったな。映画も書籍も自分の好きな物の名前がぽんぽん出てきて、ああこの人とはいろんな概念を共有出来そうだなーとか思ったりだ。まったくズルいよな。
何に共感したって「俺はロリ顔の年上を常に欲望している」って一節にこれ以上ないくらいに共感したんだけどなww大きいとか小さいとかは、この際関係ないんだ。
ただ、長生きしているといつかのその「ロリ顔の年上」には必然的に分水嶺が生じて我々はその尾根をどちらへ下るのか、そのまま歩み続けるのか、決定しなくてはならない。
だから、伊藤 計劃が早死にしたのはズルい。
なんて言ってるそばからビンラディンが死んでる訳だ。深夜ホワイトハウス前に集って大歓喜な人々を見るにつけ、ああ世の中また悪い方へ転がったんだなーと、思わざるを得ない。
「欧米はイスラム社会との対話を行わずにこれまで…」なんて日本の新聞が偉そうに書いてるの見ると心底絶望する。俺たちだって、何もしてないんだぞ。