ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

初野晴「退出ゲーム」

退出ゲーム (角川文庫)

退出ゲーム (角川文庫)

「1/2の騎士」のひと*1。その後一冊読んでるんだけれどそっちは正直いまひとつで、さてどうしようかなと思いながら読んでみた本書はなかなかに楽しい。たぶん「楽しい話」を書いている方が面白い人なんだろうなーと、思います。楽しさと紙一重のところに深刻さが潜んでいるのが魅力では、あるのだけれど。

学園もの部活もの日常の謎ものキャラクターもの、貼りつけられるラベルはその辺りで、且つその辺りでは直球か。解説にもあるように80年代の幸福な空気感は漂い、でもそこかしこに90年代以降の、まさに自分が同時代的に感じ取って来た種類の楽しさが好きだなあ。

シリーズは続いてるようだけれど「生徒会ブラックリスト十傑」は全部出てくるのだろうか。ミステリーで十傑って聞くとBF団よりも富士ミスな訳であるが(藁

謎が解かれて「みながハッピーになる」というコンセプトが明確に貫かれている中にあって、主人公のハルとチカのどちらかがハッピーになればもう一方は必然的にハッピーにはならない構造をさてどうするのか、続きも読んでみたくなりました。