ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ライク・E・スプアー「グランド・セントラル・アリーナ」(上)(下)

グランド・セントラル・アリーナ (上) (ハヤカワ文庫SF)

グランド・セントラル・アリーナ (上) (ハヤカワ文庫SF)

グランド・セントラル・アリーナ (下) (ハヤカワ文庫SF)

グランド・セントラル・アリーナ (下) (ハヤカワ文庫SF)

全宇宙から知的種族が集められる「闘技場(アリーナ)」に突如放り込まれた人類が――という、どこから切ってもB級グルメのような美味しさを感じる懐かしいSF(笑)

レンズマン」シリーズで有名なE・E・“ドク”スミスに献辞が奉げられているように如何にもなスペオペなんだけど、冒頭からしばらくはサイバーパンク風味のガジェットやワードが飛び交い若干とっつき難さを感じる。既知宇宙から「アリーナ」へと舞台が移るとそれらガジェットのほとんどがとある理由により「死に設定」と化してしまうので正直このパートの記述に力を入れる理由がよくわからない。実を言うと引っ掛かる点は他にもいろいろあるのだけれど、物語が動き始めるとまー、あんまり気にはならないかな。登場人物のひとりが「デュケーン」という、スミスの「スカイラーク」シリーズから名付けられているので古典スペオペのリスペクトかと思いきや、まー出るわ出るわどんどん日本のアニメやマンガのキャラネタテンコ盛りです。ヒロインはラムちゃんナウシカで素子少佐で、西遊記じゃ無い方の「悟空」も「如意棒」もどんどん出てくるぞ。

そーゆーところを素直に楽しめるのなら実にこー、なんだろうね、輸入駄菓子みたいなジャンクフード感覚か、そういう甘さなんだけど、ある種の「痛快さ」や「爽快感」はエンターテインメントに重要なんだなーとか、そんなことを考えた。


たぶんその、今日コンビニのレジで貨幣を媒体とするコミュニケーションを成立させた店員の人より、地球の反対側に住んでてひとつも言葉が通じないこの作者の方が、自分とはいろいろ気が合いそうに感じる(笑)


本文にそんな直接的な記述は一切ないのに「超人ハルクのような特殊能力を秘めた動力エンジニア」って表4あらすじに書いちゃう担当者のセンスは疑わざるを得ない。てっきりミドリ色の巨人に変身するかと思ってたのに、全然そんなことはなかった…