ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

町田三郎 訳「孫子」

孫子 (中央クラシックス)

孫子 (中央クラシックス)

そういえばちゃんと読んだことなかったなーと思って手に取る。なるほどこれは面白いですね。無駄のない簡潔な記述、しばしば精神面の物事を題材にしながらも安易な精神論に流れない合理的な視点など、戦争論、戦争学の骨子だけを抜き出したら世の中大抵の物事には当てはまる「兵法」になったということか。彼との関係性で如何に主導権を握って我に有利を導くかと、つまりはそんな内容です。

全十三篇を各章ごとに本文読みくだし+現代語訳+訳註で記述されていて、たいへん判りやすい構成なのも良し。

故に用兵の法は、其の来たらざるを恃(たの)むことなく、吾(われ)の以て待つ有ることを恃むなり。其の攻めざるを恃むことなく、吾(わ)が攻むべからざる所あるを恃むなり。


そこで、戦争の原則は、敵のやってこないことを頼りにするのではなく、こちらに備えのあることを頼りにする。敵の攻撃しないことを頼りにするのではなく、こちらの攻撃されることのない態勢を頼りにするのである。


「守勢」あるいは「専守防衛」って実に能動的なスタンスなのだと、紀元前に喝破されていますよ既に既に。

むかし、ジョジョの二部でジョセフ・ジョースターが「これぞ孫子の兵法よ!」と大見え切った時に「孫子なら会ったことがある」と冷静に切り返したエシディシは実に実に格好良かった。