- 作者: マックス・ブルックス,浜野アキオ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/04/10
- メディア: ペーパーバック
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ゾンビと戦争だ!
とゆー、わかりやすいっちゃあわかりやすいテーマを、しかしその戦争の終結後10年を経て生き残った人々がそれぞれの立場、それぞれの記憶を述懐するインタビューで構成された“AN ORAL HISTORY OF THE ZOMBIE WAR”(副題)。近年久しぶりのゾンビブームで映画やマンガやアニメやいろいろありますけれど、これはなかなか異色でスケールのデカい話をうま〜くクライマックス(だけ)の連続形式にしている感じ。
全世界の様々な人の中には蔓延初期に偽ワクチンで大儲けしてそのまま南極のシェルターに籠って生き延びたりとか積極的な人間隔離政策を実行してその後発狂しちゃった人とかいる一方、普通に兵士、普通に子供、普通にオタクだったりと登場人物も色々です。
日本で作られた「バイオハザード」シリーズがゾンビの発生理由を「アメリカ企業の化学実験」(だっけ?)に求めているのに対してこちら「ワールド・ウォー・ゼット」は「中国奥地で発生した謎の病気」に帰しているのは如何にもアメリカ人が作った話だな(笑)南アフリカやロシア、ウクライナの情景などは如何にもステロタイプで――
ちなみに日本がどうなったかというと、国民のほとんどが海外に逃れた無人の国土を、日本刀振り回す元ひきこもりと園芸スコップで戦う座頭市(長崎原爆被爆者)が組織した私設武装組織、「盾の会」なるグループがぼうえいしt
著者マックス・ブルックスは名優メル・ブルックスの実子だそうです、きっと小松左京と三島由紀夫のファンなんだと思います*1。
「ゾンビコンプレックス」なる言葉があるかどうかは知らないが、もし本当にそんな症状があればそれはきっとヒトフォビアみたいなものなんだろうな。ジョージ・A・ロメロからこっち、結局本当に恐ろしいのは人類とその形成する社会の方ですね。
ところで本書いちばんの収穫は南アフリカの元大統領、ネルソン・マンデラ氏の幼名(ミドルネーム)が現地の言葉で「厄介者」を意味する単語だと知れたことであろう。本書では若干表記が異なるが、日本では一般的にネルソン・マンデラ氏のミドルネームは
ロリフラフラ
と、いうのである。*2