ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

R・A・ハインライン「天翔る少女」

天翔る少女【新訳版】 (創元SF文庫)

天翔る少女【新訳版】 (創元SF文庫)

えっ

と、この小説の感想を書こうと思ったら二文字で済んでしまう。顔文字にするならこうだな

Σ(゚д゚|||)


ヒロインのポディがラストで酷い目に遭うとはスタンドポップで見かけてたんで「たったひとつの冴えたやり方」みたいな話かなーと、恐る恐るに読み進めても本文はずーっとアゴアシ付きの豪華で怠惰な宇宙旅行の顛末日記でなーんにも起こりませんなあ。無重力空間で大量の赤ちゃんのオムツとっかえぐらいですなあ。などと思ってたら急転直下でヒロインのポディは酷い目に遭うのであった。ああ、こりゃ酷いねドイヒーだね。何より始末に負えないのは「こうなったのはお前ら両親の育て方が悪かったからだ」って怒鳴りつけてるトムおじさんがどう考えても全部悪いとゆーこの、なんだろうなぁ…ごく普通の、どこにでもいそうな等身大の女子中学生の日記文学のフリをして、実は強力な男性原理に支配された物語を著述する筆の巧みさはさすが巨匠といったところか。


後味の悪い結末部分は差し替えられたもので、ハインライン自身はもうちょっと違った形のものを想定していたとは巻末解説で明かされているけれど、どちらを取っても

 すごくひらたく要約すると、テキサスから出てきた田舎娘がラスベガスで舞い上がって事件に巻き込まれて残念、見たいな話

であることに変わりは無いしでううううむ。いやわたくしハインラインジュブナイルの人だよ派でして「宇宙の戦士」や「月は無慈悲な夜の女王」よりも「ルナ・ゲートの彼方」や「ラモックス」の方が、その説教臭さも含めて大好きなんですけど、本書の説教加減は空回りしているなーと、言わざるを得ないわけです。

「こんなの、とても耐えられない!」
「いや、耐えられる」


――「ルナ・ゲートの彼方」asin:448861809Xより。