
- 作者: ロバート・チャールズ・ウィルスン,茂木健
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/05/28
- メディア: 文庫
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著者は「時間封鎖」「無限記憶」で有名な人…だけど読むのはこれが初めて。時間テーマの長編SF読むのもなんだか久しぶりだなぁ…
近未来を舞台に、突然地球上に出現した巨大な記念碑は更に未来の世界(+20年後)の未知の独裁者の勝利を示したものだった。材質も不明、そもそも過去への物質投射を可能にするテクノロジーも不明、次々に出現する「クロノリス」を前に無力さを露呈した人類社会はやがて…と、いうようなストーリー。未来の戦争と勝利を予言するようでいて、実は過去世界を改変しているクロノリスの設定、それに携わる研究者たちの人間模様と社会の変容という、何やら大仰な話を描いているようで、実は主軸となっているのは主人公スコット・ウォーデンの“そこらにいそうなアメリカ人”*1の人生そのもの、ひとりの個人に収束する様はなかなか面白かった。
爽快さはそれほどないんだけれど、しみじみといい話です。「タウ・タービュランス」とか時間移動に関する単語と設定はともかくスー・チョプラのキャラとラストの意外な行動は良し。
*1:巻末解説より