ペルディード・ストリート・ステーション (上) (ハヤカワ文庫 SF ミ)
- 作者: チャイナミエヴィル,鈴木康士,日暮雅通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/05/31
- メディア: 文庫
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う〜〜〜〜〜ん、説明するのが難しい本だよなこれ。表4あらすじをちょっと引用してみます。
蒸気機関と魔術学が統べる都市国家ニュー・クロブゾン。中心に巨大駅ペルディード・ストリート・ステーションが聳えるこの暗黒都市で、統一場理論の研究を続ける異端の科学者アイザックは、ある日奇妙な客の訪問を受ける。自ら犯した大罪のため、翼を奪われた〈鳥人〉ヤガレクは、命にも等しい翼の復活をアイザックに依頼するのだった……。
スチームパンクSF且つ異世界ファンタジーでもある<バス=ラグ>シリーズ第一弾ということでパンクより異世界強めな世界設定。主人公アイザックこそ一応人間(だよな…)だけれどあらすじにあるように鳥人「ガルーダ」は出てくるわそれ以外にも機械的・生体的な改造を受けたサイボーグ(?)「リメイド」や水棲生物「ヴァジャノーイ」サボテン人類「カクタシー」など魑魅魍魎的な生命体がわんさか出てくる。アイザックの恋人リンに至ってはなんとまあ虫だ。昆虫とセックスするSFといえばフィリップ・ホセ・ファーマーの「恋人たち」asin:415010378X(わーなつかしー)があったけれど、いやもう、ごく普通にステディです。言葉を発音できないのでノートに書かれた文字と「体話」でけな気にコミュニケーションするリンはちょっと可愛いです。虫だけど。
まるでショッカーの怪人軍団なひとたちがカオスな日常を送っている*1都市国家ニュー・クロブゾンそのものに魅力が溢れているけれど、上巻はなかなかストーリーが展開しないのでいささか読み辛い…のはちょっと「ねじまき少女」に似てるかなあ。登場人物かなり多いんで一覧あるとよかったですね。
翼を喪った鳥人ヤカレクのためにアイザックが山ほど集めた飛行生物の中にいたドラッグを食ってテレパシーを放射(?)成長する謎の幼虫が物語のカギを握っているようで、この「スレイク・モス」が羽化するシーンはなかなかにグロテスクでとても美しく、ちょっと昔のホビージャパンで韮沢靖の連載を読んでたころを思い出したりだ。全盛期の「PHANTOM CORE」を文章にしたらこんな感じかなーと、そんなことを考える。
タイトルが駅の名前だってのがなにやら象徴的なのだけれど、まだまだ全貌は見えてこない。下巻では「統一場理論」や「危機エネルギーエンジン」といった科学的(あくまでオルタネイティブな)要素はどう絡んでくるんだろう?
ミスター・モトリーは立体で見てみたいですね。
*1:地獄と繫がってる場所があって「地獄の大使」が詰めていたりするw