- 作者: 大森 望
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/02/25
- メディア: 文庫
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なんとなく手に取ってみたら割と面白かったアンソロジー。去年あたりに 三冊 (四冊でした)出たうちの三番目だったんですね、こんど他のも読んでみようかな。
恋愛小説に言葉を重ねていくのは野暮のやんぱちだけれども、大体にして恋愛成就に困難な難関があった方がエンタメとしては美味しい訳で、このアンソロに収録されてる恋愛はどれもヘンなモノが恋愛対象となるお話ばかり。樹に懸想されたり人魚にひとめぼれしたり、時を越えた文通(例のアレですよアレ)やら腕だけ引っこ抜いてもらってきたりとまーヘンなレンアイ略して変愛小説ばかりです。人外スキーとかにいいかもしんない。
以前読んだ時にはピンとこなかった小林泰三「海を見る人」がこうして恋愛小説の枠組みの中に置かれると、なるほどこれは悲恋だしかも二次元嫁だとしみじみ感じ入ります。梨木香歩の「サルスベリ」や万城目学「長持ちの恋」など気になってたけどまだ手を出してない短編集からセレクトされてたのはちょっとラッキー。川端康成「片腕」はああノーベル賞ってHENTAI部門だったのかも知れないなあと思う一方で、椎名誠の「いそしぎ」がしみじみ良い。奥さんとの別離を描いた作品なんだけど、地方風俗を描いた土着的な伝奇小説のようにみえて、実は反体制指向の王道サブカルチャー日本SFな気がする。