ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

マクスウェル・タイラー・ケネディ「特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ」

特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ―米軍兵士が見た沖縄特攻戦の真実

特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ―米軍兵士が見た沖縄特攻戦の真実

綿密な取材と公平な視点によって書かれた良書です。ボリュームある内容、また読んでいて決して気分が爽快になるような記述ではないのでページをめくって行くには時間と、そしてなにより気力を要求されるような感がありますが、読了すれば得られるもの、意義はそれなりに大きなものとなるでしょう。こういった書籍の読後感というのもなかなかうまく言葉には出来ないものですが、簡潔に纏めると三行もかかりません、一行で済みます。


戦争はよくないですね


例え時代性がどのようであっても「信じてはいけないもの」が世の中にはあるはずで、しかしながら戦時体制下ではそんなパラダイムは簡単にシフトされてしまう。どうにもそれがやるせないのです。

(決してそういう内容ではないのですが)もしもこの本や関連書籍を読んで「特攻作戦は現代では人道的にも戦略的にも否定されているが、太平洋戦争末期当時にアメリカ海軍の正規航空母艦にこれほどの大打撃を与えたのだから戦術としては有効ではないか」と思われる方がおられましたら、戦術的勝利は戦略的敗北を糊塗し得ないとだけ申し上げてきます。硫黄島しかり、ノモンハンしかりで。