ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

原リョウ「そして夜は甦る」

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))

人生でもう何度目だかわからない位に再読。エッセイ集をぱらぱらめくっているうちに気がついたら読んでいた。以前は「日本最高のハードボイルド探偵は沢崎!」と鼻息荒く主張していた時期もあったけれど、いま読み返してみたら自分が丸くなったのか、むかしほど意気込まなくても良くなったのか、肩肘張らずに懐かしく読めた気はする。

かつてはユーモアやウイットだった事象も、何度もお目にかかるたびに様式化しギャグの域にまで達するような、「ハードボイルド」の持つある側面をひとつの作品で追体験できたような気もする。たぶん気のせいだろうけどね。

今回読んで得た一番の驚きは、作品とも作者とも関係無くて極めて個人的な事柄なのだけれど、これまで幾度も読んできた過去の経験の中でもここまでの衝撃を受けたのは初めてだ。

過日この本と著者原リョウを勧めてくれたのは自分のいわゆる本読みの師匠である。最近はとんと没交渉だが幸い死んだという話も聞かないのでおそらくは既に自分と同じ境地に達し一歩も二歩も先を行っているかと思うのだが…



――俺、沢崎と同い年になっちまいましたよ