これにて完結第三巻。今回はジョン・バガン「アシュトルトの密林」がよかった。古代の神格により「呪われた」土地とそこに座す神殿とをいかにもキリスト教的な乱暴さでいわば平定する話なんだけど、しみじみ余韻が良いのよ。
グラン・ギニョールの台本やパルプ雑誌に掲載された作品など間口の広さは特筆すべき点で、作品数も多い。資料的価値は実に高い一冊です。ですがその、俗っぽいというかなんというか、つまんないものも多かったなァというのが正直なところで・・・
低いところが広いというのは「山脈」らしいところかな。
そして前書きで荒俣宏先生が
おそらく本書は、私が西欧の怪奇小説について真摯に語る最後の機会になると思われる。意は尽くしたつもりだが、まずは読者に楽しんでいただけることを希う。これで、憑き物がひとつ落ちたというのが、私の実感である。
などと述べられていて一抹の物悲しさが。