ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジョエル・レヴィ「図説 世界史を変えた50の武器」

図説世界史を変えた50の武器

図説世界史を変えた50の武器

タイトル通り世界の、というか人類の歴史上でエポックメーキングとなった武器を石斧からロボットまで編年的に解説するもの。あぶみの使用や長弓と弩、原子爆弾など選択されたものはどれも妥当でありますが「飛行機や船などの乗り物は、武器というより武器のためのプラットフォームということでほとんど除外している」ことに注意。とはいえ馬とチャリオット、戦車なんかは項目あるんだけれどね。

それぞれの武器が戦争の在りかたを変えたというよりは、むしろ社会を変容させていったのだなとあらためて思わされる、だいたいそんな内容です。武器を装備するには資産も重要で、原始社会から古代中世、近代そして現代へと、社会が変容と同時に変化していく資本の集中と拡大が武器の在りかたを変え、戦争の在りかたを変え、再帰的に社会を変容させていく。読みやすいタイプの図鑑で、例えば軍事趣味に目覚めつつある中学生が読んだら相当面白いんじゃあるまいか・・・などと。

ダンジョンズ&ドラゴンズ」などのからみでしばしば語られる、「中世のヨーロッパ社会ではクロスボウが危険すぎる武器として教会から使用禁止を勧告された」みたいな話は、残虐性よりはむしろ下層階級の兵士が簡単な訓練だけで支配階層の重装騎士を駆逐できるという、現代社会のカラシニコフ突撃銃みたいな危惧を抱かれていたと、どうもそういうことらしい。そんな感じの小さな、しかし新しい知見がいくつも得られました。

余談。

自分が使ってる床屋はお年を召されたご夫婦が営んでおられるのだけれど、最近行ってみたらルンバが導入されていた。やっぱり道具って社会を便利にするものですね。どんな社会の、どんな在りようもね。