ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

オブライエン「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」

不思議屋/ダイヤモンドのレンズ (光文社古典新訳文庫)

不思議屋/ダイヤモンドのレンズ (光文社古典新訳文庫)

フィッツ・ジェイムス・オブライエンの短編集。収録作は以前に創元推理文庫で読んだ「金剛石のレンズ」*1とほぼ被る。けれども随分雰囲気が異なるのは訳者・訳文の違いはもちろんとして、装丁とかにもあるのでしょうね。大瀧啓裕の訳で読んだときにはどこかヨーロッパ的な感覚を受けたのだけれど、南條竹則の手による本書ではもっとさっぱりというかカラッとしたというか、アメリカ的だなあ、などと。

収録作で唯一創元と被っていない「ハンフリー公の晩餐」が実にO.ヘンリー的でアメリカの作家なんだなあと思いながらも、大瀧センセが自分の編んだ本にこれを入れなかったのもなんとなくわかるような気がしたりだ。

訳注の振り方がすごく丁寧で、全体的に「親切」なんだなこの本。海外作品の翻訳は読者に配慮しなけりゃいけなくなってるってことの、これはひとつの現われなのかな?