ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

乾石智子「沈黙の書」

 

沈黙の書

沈黙の書

 

 オーリエラントシリーズの、長編としては最新のものですが、扱われている時代は最も古いものです。巻頭の地図が既刊のものとはちょっと違っていて、地形が変わるほど時間が隔たった時代の話である(ファイブスターか)。

人も国も、魔法も自然もいまだ未熟な時代、戦乱と発展、荒廃と再生の連なりを見せたうえで「本」や「言葉」に大きな意味付けを持たせていくのがこのシリーズのテーマとなのだろうなと、それはだんだん掴めてきたように思います。しかし綺麗にまとめられているように見えて、これをただの「綺麗にまとめられた話」でまとめてしまうのも、それでは少し不足な気もする。蛮族の皆さん気の毒だなという視点を、一読者としては持ち続けていたい。

「天と地の間」「言の葉の満ちるところ」オーリエラントってそういう意味だったんですねえ