人類補完機構全短編シリーズ第2巻。このシリーズが「叙事詩」とか「宗教的」と呼ばれる理由が、まあなんとなくわかったようなわからんような(どっちなんだ)。遥かな未来の出来事を、更にその先に居る語り手が「歴史」として語り上げる。故にこの種のジャンルの作品は「未来史」と称される。当たり前だけどそれを再確認できた気がします。
「帰らぬク・メルのバラッド」で活躍する猫娘のク・メルが世間的には大人気だそうですが、個人的には「クラウン・タウンの死婦人」で殉死する犬娘ド・ジョーンのほうがその、刺さりますねえ…
しかし本書でもっとも心に響いたのは、「シェイヨルという名の星」で繰り返し発せられる「人の命は永遠ではないのよ」という台詞、テーゼで、手塚治虫の「火の鳥 宇宙編」を思い出したりだ。あれも流刑地のSFだったからかな。
そして巻末の解説で語られる1980年代のコードウェイナー・スミスファン(というかSFファン)の在り様が、率直に言って気持ち悪い。
いやホント、笑えませんなこれは…