ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

アーシュラ・K・ル・グウィン「風の十二方位」

 

風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF 399)

風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF 399)

 

 ※自分が読んだのは旧版

 

これは読みやすかった。全図が全部ではないが概ね素直に楽しめた、共感しやすいというか「寓話」的な要素を楽しんだような感覚。考えてみればゲド戦記も「こわれた腕環」が一番好きで、あれは分かりやすい寓話だったからなあ…。そのゲド戦記アースシーを舞台にした作品のひとつ「名前の掟」は珍しく(?)コミカルというかブラック・ユーモアなオチが楽しい、不思議。「四月は巴里」の軽妙さもこれまで読んできた(いやそんなに読んでないけどね)長編とはなにか違う雰囲気で、それでも「マスターズ」や「九つのいのち」には長編と通じ合うテーマ性があったりといろんな作風が楽しめます。

 

それでやっぱり「オメラスから歩み去る人々」がね、これを初めて読んだのは実は結構最近のことなんだけど、10代の頃に読んでおけばよかったと思うと同時に、10代でこれ読んだら拗らせそうだな、とも思うわけです(笑)