ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジョナサン・オージエ「夜の庭師」

 

夜の庭師 (創元推理文庫)

夜の庭師 (創元推理文庫)

 

 とてもよいジュヴナイル・ホラーだった。ホラーというよりダークファンタジーよりかな?19世紀イギリスの田舎を舞台に、聡明で語りの才がある姉と脚が悪く誠実な弟の、親の無い姉弟アイルランドの飢饉を逃れてイングランドに逃れて来たきょうだい)が、奉公先の屋敷で出会う謎めいた家族と怪異、屋敷にまつわる秘密と亡霊めいた「夜の庭師」。

まずビジュアルが良い。巨大な老樹と一体化した薄暗い屋敷、夜な夜な現れる影のような存在、薄幸そうな家族とかいろいろ。秘密の扉を開くとそこには樹の洞が口を開けていて、望みのものが手に入る。手に入る代わりに人は何かを、すなわち魂を少しずつ失っていくのだけれど、手に入る望みは麻薬のようにひとのこころをむしばみ……というような展開です。モリーとキップの姉弟がどれほどの苦難に遭い悩み苦しんでも誠実さを失わず、傷ついたウインザー家の家族を助け、最後はみなで力を合わせてハッピーエンドという、極めて良い話だった。ディズニー映画化決定とあるけれど、実際に映画にはなったのかな?(※どうもまだなって無さそう)

まあ何が良いってお屋敷の兄妹、デブでそばかすで嫌味ったらしく他人を害して回るばかりだった兄のアリステアがキップの手助けを買って出るシーン…

 

でもなんでもなく。

 

妹のペネロープが素敵純真ダーク風眼鏡っ子だった!ことで!!あります!!!ビジュアルが良い!!!!

 

「語り」と「騙り」のテーマはかなり重要で、村の語り部ヘスター・ケトルのキャラがかなり良いのだけれど、それについてはここでは触れずに読んだ人のお楽しみということでひとつ。

 

あと「夜の庭師」が老樹の根の生えている範囲でしか活動できないところがいかにも「オージェ」で面白いよなー。なんて、そんなのエルガイム好きにしか通じねー冗談だわw