「機巧のイヴ」(http://abogard.hatenadiary.jp/entry/20150801/p1)の続編。舞台はパラレル日本のパラレル江戸時代より約100年語の世界、パラレルアメリカのパラレル万国博覧会。連作短編集だった前作と意外、今回は長編です。
ということで前作の登場人物はみな死んじゃってます(※ただし人間に限る)。おおまかな歴史の流れは現実に世界とほぼ似通っていて、パラレル明治維新の後の19世紀和洋折衷スチームパンクといったところですか(カバーイラスト素敵♪)。人間は出なくとも機巧人形(オートマタ)の「伊武」をはじめ人間じゃないキャラクターは引き続き登場します。相変わらず鯨さんは腰掛けにされたり物置かれたり、なんなら100年近く伊武の尻が乗っていたりで大変且つまったくうらやましい事であります!!
今回新たに登場する人間のキャラクター達が揃いも揃って残念な連中ばかりで(強いて言えばバリツ使いの少年八十吉がマトモといえばマトモではある)、なかでもとりわけ残念なのはフェル電器産業の経営者にして天才発明家であるところのマルグリット・フェル女史で、これが天才で美人でハイソサエティーで服装に無頓着で度の強いメガネが無いと人間と帽子掛けの区別もつかない残念ぶりである。
最高かよ。
フェル電器とテクノロジック社という二大企業が電機産業の主流を直流と交流で争う史実のアメリカ同様の設定で、直流側に立つフェルはいわばエジソンの女体化みたいなキャラなのだけれど、キャラクターの性格としてはエジソンというよりはテスラ的な変人に描かれるところは面白かった。エジソンも変人っちゃ変人なんでしょうけれど。
とはいえ、人の無力さみたいなものは随所に溢れていて、視点人物となる私立探偵の(探偵くずれの)日向丈一郎はずっと残念なまま終わってしまうし、結局殺人鬼のひとはあーいや、うんネタバレはあれだねいけないね。
このお話の、そして前作のアピールポイントは巻末の解説で適切にまとめられているので、そこを読めばおっけいです。書いてるのは池澤春菜嬢です。
うむ。
あ、あと観覧車先輩が観覧車先輩でした。