「知性」をテーマにした作品を集めた短編集。個別の作品は単独のものだけれど、「ホットショット」「巨星」「島」の3本はいちおう連作である。なお巻末解説はAI関係でよく名前を見る高島雄哉先生です。正直なところを吐露してしまうと半分ぐらいは「???」という感じなんだけれど、「天使」「付随的被害」「帰郷」の3本が良かった。ジョン・カーペンター版の「遊星からの物体X」を語り直した「遊星からの物体Xの回想」はネタ度は高いと思うけれど、なんとも評価しかねる感(笑)
「天使」は無人攻撃機のAIに知性がインストールされる話で、いわば「深井零のいない戦闘妖精雪風」みたいなものです(本当か)。その伝で言えば「付随的被害」はキリコのいないテイタニアみたいな話で、「帰郷」は少年ではいない海底少年マリンみたいな話だ。
ごめんちょっとウソだ(´・ω・`)
AIであったりサイボーグであったりポストヒューマンであったり、人ならざるあるいは人とは少し違う知性と倫理の在り様を、様々な角度から著述してみる。そういうSFですね。ミリタリズムしか引っかからないのは読んでる方の知性に問題があるからだろう…
「天使」に実は既読感があって、調べて見たらS-Fマガジンに載ってた*1んですね。その時とは違う翻訳なんだけど、本書では特に触れて無かったのでいちおう。ハヤカワで初訳されたものが文庫としては創元で刊行されるというのも、なにか事情はあるのかな?本書の他の収録作品はどうなんでしょうね。*2
ところで各作品の前にはそれぞれ解題というか概要が載っていて(編集部による)、まるでネタバレの様でそれはどうかと思うのだけれどガイドラインが無いと取り組み辛い作品傾向も有りで、痛しかゆしと言ったところかなあ。