暑いから読んだ。
というのはまあ、一面の真実ではあるのだけれど、岩波少年文庫の児童向け作品にも海外ホラーアンソロジーなんてあるんだなと、そこに興味を持ったのも確かだ。訳者の趣味(と、おそらくは権利関係のモロモロ)によって選ばれた作品はポーやダンセイニどれも古典と言っていいようなものばかりで、いちばん新しいものでも1950年代かな?半世紀以上前の「こわい話」が、はて21世紀の読書子に果たしてどこまで好まれたのかかは、なんとも思いかねるところがある。よく読めばどの作品も執筆当時の「モダンな恐怖」を題材にしていて、伝記的なものやあるいはグロテスクなものは注意深く外されている。そこの妙技はさすがの手腕であって、あとがきで自分が子供のころ読んだ怖い話だ、みたいなことを書くよりはそこを強調してもよかったような気がする。
既読もいくつかあったけれど、児童向けの訳文で見るのはやはり新鮮でありました。
このシリーズ続刊があって、次巻ではダールの「南から来た男」が表題作に選ばれているらしい。最近カズレーザーのおかげで再度注目されたそうで、あんがいイマドキの子供たちにも受けは良いのかも知れないなあ。