ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「アイの歌声を聴かせて」見てきました。

公式。 今年は劇場アニメの良作が多いけれど、意外な伏兵というかなんというか。テイザーPV自体は何度も見ていて、多分バンダイナムコが製作だからガルパンで流してたんだろうなあ。女子高生でロボと来たら「To Heart」のマルチみたいな話なんかなー、程度の興味で特に惹かれることもなかったんですが、公開以来のあまりのクチコミの絶賛さにちょっと「若おかみは小学生!*1みたいな空気を感じて、足を運んでみました。

 

やー、

 

面白かったですよ。

 

ロボットというのは人間の似姿で、似姿というのはそのものではない。そのものではないから、そこには人に成し得ない希望や理想を求めたくなるのでしょうね。ロボット、アンドロイド、いやまあAIか。人間の中に混じって活動するAIのシオンが起こすいくつかの奇跡が、それは歌うことによって起こるわけなのだけれど、普通は歌を歌ったからって何かがどうなるなんてのはマクロスの世界ぐらいじゃあるまいか。でも一番最初にゴッちゃんとアヤの仲を取り持つときに、まず「水の上を歩く」カットを入れることで、ここから始まるシーンは普通ではない、超常的なものなんですよというエクスキューズを受け止められて、不自然さもむしろ自然に。

 

そこで妙にキリスト教な見地を感じちゃったものだから、これはきょうだいと精霊とAIの御名に於いて、遍歴の魂が長い旅の果てに受肉し、人の世に幾何かの奇跡を起こしてそしてまた天上に還る話なのだなーと、そんなふうに納得しました。進歩したAIとネットワークに覆われた世界には、八百万の魂の座があるのだ。あるのだ。

 

ラストシーンで月観測衛星(だっけ)に宿ってるところにかぐや姫かよ!と思ったらどうも本当にそうだったようで、パンフレットによれば劇中作「ムーンプリンセス」はディズニー風なかぐや姫のお話だった。

 

「サカサマのパテマ」も「イヴの時間」も未履修だったのを恥じる思いです。後者は批評系の同人誌なんかで取り上げられてた印象があるな。

 

みかこし演じるアヤちゃんがどんどん可愛くなっていくのは良かったな。あとサンダーが良かった。柔道って社交ダンスだったんだ!

 

しかし考えてみれば「家具に話しかける」なんて「NHKにようこそ!」の頃は病気の一種だったのに、いまではごく普通の行為なわけで、精々20年でも世の中随分変わったものですねぇ…

 

そしてやっぱり歌なわけですが、これCD化はされないんだろうなあ、古い人間なもので物理的に欲しいのだけれど。