ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

国立近代美術館「ゲルハルト・リヒター展」ほか

公式。現代美術は好きなんだけど、こういうタイプの絵画だけがまとまっているのを見に行ったもんかどうか悩んでいたらSAKさんがレポートされていて、それでちょっと背中を押されて行ってきました。詳しい展示内容についてはこちらをどうぞ。

sakstyle.hatenadiary.jp

まあリヒター展と同じぐらい「タミヤをモチーフにした作品だったが、さらにそのうちの1つは、コンセプトは分かるが、模型ファンだと不快になるかもなと思った」村上隆の作品に興味があって出向いたんですがw

 

やはり行ってみて良かったですね。こういう絵画、特に油彩の物は写真や印刷物で見てしまうとキャンバス上のマチエール(って言い方で合ってるんだろうか?)の力強さであるとか、作品そのもののサイズだとか、距離感の違いによる印象の違いとか、そういうものが全部失われてしまうものですから、自分の目と距離と印象で感じることは大事です。CDとライブコンサートの違いって例え方が古いか。

それで会場は基本撮影自由だったんで、いくつかスマホで撮影してそのとき感じたことをツイートしました。これは鑑賞マナーとしては、本当はあまり良い事ではないだろうなとは思いますが。そんでもって村上隆作品はどれも普通にムカつきましたな(笑)何が文脈だッ!(ここでブーメランを投げる)

min.togetter.com

それでまあ、会場でずっと感じていたのは偶然と必然の対照というかまあなんだろう、そんなことです。「アブストラクト・ペインティング」や「オイル・オン・フォト」「アラジン」のような作品群はキャンバスにおける偶然性(力の入れ具合や掛かる向きに意図はあるにしても)を留めたものだろうし、写真をキャンバス上に描き写した(移した)「フォト・エディション」はむしろ必然の産物で、それらをまるで統合したかのように強制収容所の写真を塗りつぶした「ビルケナウ」の4枚とそれを撮影した「写真ヴァージョン」が偶然と必然の両方を併せ持つかのように鎮座している。その間をつなぐのは「グレイの鏡」だ。これは一体なんだろうなあと。鏡やガラス面を用いた作品は他にもいくつかあって、特に会場の真ん中に据えられた「8枚のガラス」はそこを通りかかる度に周囲の光景をんー、歪めて?映し出して、美術というのは眩暈だなーと久しぶりに感嘆した。SFも眩暈だけれど美術も眩暈なのだ。

それで「1944年2月14日」という作品がありまして、これにいちばん頭をブン殴られた気分になりました。会場では映り込みが酷くて撮影できなかったんだけど、幸い物販にポストカードがあったんでそれ買ってスキャンしてみました。まあこんなんである。

これは連合国軍が1945年2月14日に撮影したケルン南部の航空写真です。リヒターはこの記録写真を加工し、拡大しました。遠巻きから眺めれば、抽象的な模様に見えるかもしれません。しかし近づいて見ると平凡な航空写真であることがわかり、さらに爆撃の痕跡という細部に気づくことでしょう。イメージは変わりませんが、何に焦点を合わせるかによってその見え方が変わります。題名や展示された文脈も重要な要素です。リヒターは絵画や写真といったメディアを駆使しながら、私たちの視覚の技術や習慣を主題としているのです

(展示解説より)

これは果たして偶然の産物か必然の結果かどっちなんだろう?そんなことをずっと考えていました。画面左上にはアウトバーン(でしょう)の美しいジャンクションが必然的に置かれ、爆撃痕のクレーターは偶然の産物のように散らばっている。でも近づいて良く見ると、この攻撃はジャンクションから伸びる幹線道路を狙って投弾されたようでそこには意図的なものを感じます、感じますがしかしやはり、結果としてはばらつきがあり地面に残るものは偶然であるような。そしてもっと目を凝らすと、画面右下の家屋のようなものはすでに家屋の残骸、廃墟である。偶然も必然も関係なく、ここでは社会が、生活が、人間が破壊されている。偶然も必然も、意図も無意識も、結果の前には関係が無い。橋は既に落ちていて、どこにも繋がらない。

自分の目と距離と印象で感じたのはそんなことです。とはいえ、たとえばこの一枚を第二次世界大戦の記録写真集などで見たならば、それはどこにでもある平凡な空襲被害(酷い言い様ですが)に過ぎないことでしょう。こういう場と空気の中で突然に出されるからこそ、こころは動かされるのです。そういうものです。

…文脈って大事だ(ここでブーメランが刺さる)

 

ところで村上隆の「ポリリズム」はタミヤの1/35ミリタリーミニチュアシリーズアメリカ歩兵G.I.セット」(品番35048)の1体をたくさん使ってるんだけど、あれって全部で8体入りなのよね。

 

残りの7体はどうなったんだよ(´・ω・`)