ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「特別展 恐竜図鑑 | 失われた世界の想像/創造」見てきました 

公式。 東京では上野の森美術館で7月22日まで開催中です。英語表記すると”DINOSAUR DREAMS Imagination and Creation of the Lost World” なんだそうでともかく、

 

全人類行け(´・ω・`)

 

入ってすぐに並んでるイグアノドン3体の変遷がこの展覧会の本質を示していると思う。イグアノドンは不変で、ただイグアノドンに対する人類の眼差しが変わって来ただけなのです。全ては正しい。全ては正しかった。全てはこの先改められることだろう。

恐竜発見から現代の最先端にまで至る、人類の恐竜観についての展示なのですが、やはり大きな話題となるのは「ジュラシックパーク以前の」クラシカルな恐竜復元図の数々でしょうか。とはいえ、20世紀中ほどに描かれたそれら著名な図版も当時の最先端であって、「当時のクラシック」であろう19世紀の復元図もまた、19世紀当時は最先端だったわけですね。

 

こちらも19世紀イグアノドンですが、これはリチャード・オーウェンの説に基づいてウォーターハウス・ホーキンズが作り上げた水晶宮イグアノドン塑像の「原型(マケット)」です。つまり人類が科学的見地に基づいて初めて立体化した恐竜像なわけで、甚く感動してしまった。今でこそ我々は恐竜というものの存在があらかじめ記載された世界の中でその情報を上書きしているのだけれど、ゼロベースでその存在を構築して行ったパイオニアたちの業績が無ければ。知識と学問の体系は成り立たない。「現在は否定されています」ではなくて、これらの古い学説は現在の下に堆積しているのです。まさしく恐竜化石のように。

新しい学説が認められれば基本、骨格標本は組み替えられるし書籍は絶版になります(基本的には、ね)。それでも一点物の絵画は無くならずに当時の最先端の情報を、今の我々に伝えてくれるわけで、例えばチャールズ・R・ナイトの「白亜紀―モンゴル」の絵に、これ制作年不詳の一枚なんだけど、そこにプトロケラトプスの群れと卵が描いてあるのは、これはアンドリュース探検隊の成果が反映されてるんだなあとかわかるもので。

図録も非常に重厚で丁寧なつくりなので、これ自体がひとつの図鑑になってます。

 

全人類買え(´・ω・`)

 

いい展覧会ですよホント。国立科学博物館ではこういうことは出来ないだろうし、民間の恐竜博的なイベントでも、やっぱり研究史よりは最先端の知見でしょうから。