ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

E.L.カニグズバーグ「クローディアの秘密」

うーん、ちょっとダメだった。ネガティブな感想はあんまり書きたくないけれど、メモ的に。

12歳の少女クローディアが弟と共に家出してニューヨークのメトロポリタン美術館に隠れ住む、というお話は非常に魅力的に感じたんだけれど、家出の動機が家庭内での「不公平」な扱いに腹を立てて(それは長姉ならばたぶん誰しも抱くような感情だろうとは推測します)、それで電車に乗ってメトロポリタン美術館に行けてしまうんだから随分恵まれた環境だよなあと、ちょっと格差を、「不公平」さを感じてしまって、それで躓いたようではある。弟と共にというのもそれは弟ジェイミーの持つ小遣いを生活費に充てるためで、おまけにジェイミーが小金を貯めたのは友人相手にイカサマのカード勝負を毎日やって巻き上げてるからというこうその、なんだ……

なんかとにかくフリーライドなのなクローディア。食費はジェイミーに出させたり団体客に紛れ込んだり、噴水の中に観光客が投げ入れた小銭集めたり。それでどうも自分の中になんらかのアイデンティティを確立させたうえで帰宅するというそういう計画で、別になにもかも投げ捨てて生きて行こうとか、そういう話ではない。

結局はメトロポリタン美術館が低価格で落札した天使像が果たしてミケランジェロの手によるものか否かみたいな話を、大金持ちの老婦人とコネを作ることで解決してある秘密を手に入れ、ロールスロイスに乗って(かなりアッパーミドルぽい)自宅に帰る。両親の不安は間接的には語られるが、本人が直接対峙することはない。

 

うーん、

 

これ、金持ちの道楽ですね?

 

原著は1967年か。翻訳というフィルターを一枚通して読めばエキゾチックなファンタジーだけれど、たとえばアパラチアあたりのあー、貧困な?子供が自分と同じ国に住んでる同い年の子供の物語として読んだら、一体どんな感慨を抱くんだろうなあ。電車でメトロポリタンいくにも大陸横断だぜ。

そういうことをね、最近のアメリカの格差社会とかを考えるとね。

 

例えばこれが現代の社会に妖精とか魔法使いが出てくるようなファンタジックストーリーだったら違うんだろうけど、そういうものではないのよね。地に足が付いた話だけれど、地に足が付いていないんだな。