ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

アーサー・K・バーンズ「惑星間の狩人(ハンター)」

Amazonには1995年の復刊で書誌データが載ってるのに、なぜか書影が1969年の初版のものになっているぞ(´・ω・`) そして東京創元社のサイトにはそもそもデータが無い。あんまりだ(´・ω・`) ちなみにこんなのです。

太陽系を自由に行き来しそこに生息するいくつもの生物を捕獲し地球に連れ帰る女流ハンター、世にその名を轟かす「生捕りカーライル」ことゲリー・カーライルの活躍を描くスペースオペラ。大昔にジュブナイル*1で読んで結構好きな作品でしたが、そういえばオリジナルは読んでいなかったなーと。

 

やあ、いいですねえこれ。ヒロインが宇宙怪獣をバンバン捕まえるようなイメージしかなかったんですが、まさに古典的スペースオペラという感じで。

たちまち、木星の重力の鉄の指が旧式の船体を力強くねじった。継ぎ目がきしり、リベットが飛んで口をあけた。外殻はいままでにない力をうけて、ねじれ曲がった。貴重な空気が十を越す小孔(こあな)から抜け出したので気圧はさがった。旧式の空気調節装置が、敗けるにきまっている必死の闘いのなかで、勇敢に空気を送りつづけていた。

こんなシーンがビシバシ頻出する。たまらん。

女性キャラを主人公に据えたスペースオペラというのは1930~40年代という執筆期間に在ってはかなり珍しかったんじゃないでしょうか?ファンタジーやホラー小説界隈でも稀に見ることではありますが、男性優位な社会のなかでときには厳しくときには弱さも垣間見せるゲリーのヒロイン像は魅力的です。とはいえ男性作者の男性目線で書かれていることも、間違いない訳ですが。

5本の連作短編(オリジナルは7本あるそうですが、2本は未掲載)のうち第1話となる「金星」で出会ったトミー・カーライルと、次の「木星」ではぞっこん惚れ込んだ婚約者となり、そのままどんどんバカップルぽくなってくきらいもまあ、気にはなるか。

本文中には原書にあった異星生物というか宇宙怪獣の挿絵がカットインされてそこもまた魅力。太陽系の様々な星々に奇妙奇天烈な生き物が生息していて……という荒唐無稽なお話が、まだまだ全然アリだった時代っていいよなあと、思うところです。

それぞれの怪獣の生態もさることながら、捕獲に向かう道中や着いた先での様々な困難に立ち向かうサバイバルSFみたいな風味もあり、またヘンリー・カットナーの「月世界ハリウッド」シリーズ*2とのクロスオーバー作品もあり、いろいろと魅力的な点は多い。

そして著者バーンズはほぼこのシリーズだけの一発屋だったらしい。スキ。

 

*1:あかね書房刊、少年少女世界SF文学全集11「惑星ハンター」

*2:「太陽系無宿/お祖母ちゃんと宇宙海賊」https://abogard.hatenadiary.jp/entry/2018/11/25/200643に「大作<破滅の惑星>撮影始末記」が掲載