ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

溝井裕一「動物園・その歴史と冒険」

SAKさんに教えてもらって読んだ一冊。まだ大学に入りたての頃、教授に「動物園の歴史はねー、面白いんですよー」などと言われてその時はフーンと聞き流したんだけど、なるほど動物園の歴史は面白いですね。権威・権力というか社会体制の変化と共に誰が(どういう層が)社会の主軸を担うか、それに伴って動物園の性格というのも変転していくわけで。動物園に限らずなんでもそうだと思うんだけど、まあなるほどなあ。

19世紀ごろの、まだ地球上にヨーロッパ社会が未到達な地域があった時代の、いまだ不確かな自然科学に基づく様々な試行錯誤は、人に地球上にまだ恐竜が生き残っているのではないか?という願望を抱かせてくれたわけで、それが動物園に恐竜の復元像を作るというかたちで現れる。日本では名古屋の東山動物園がそれで、なるほどあの古い復元像は実際古かったのだ。

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生物学と古生物学が未分化だった時代、それはなんとなくSFとファンタジーが未分化だった時代を思わせてちょっと胸が躍るのだけれど、それはまだ同時に「未開地の原住民」を展示品目として並べていた時代でもある。近代とは暴力だ。

ナチスドイツ時代に絶滅動物の復活が目論まれていた。という話にも胸が熱くなるけれど、そこで行われていたのは単なる雑な交配であって、それに近いものは戦後の日本動物園でも行われている。夢の無い話だ。でもちょっと見てみたいぞナチスドイツが第二次世界大戦に投入する軍用ドラゴンとかなw

権力者の時代、征服者の時代、「市民」の時代を経て、この先動物園はどんな方向に向かうんでしょうね?VRというのもまあ、あろうなあ。

そして思う、一番身近な動物園は井の頭自然文化園だけど、あそこだって自分が見てきたこの方半世紀で随分展示は変わった。ゾウの花子さんは死後も人気だけれど、あの狭いゾウ舎に単独でゾウが飼育されることは金輪際ないだろうし、「吉祥寺の街も見えない」と言われた小さな(本当に小さな)観覧車がゆうえんち区域から撤去されて久しい。温室だった場所はいまでは芝生広場だ。

いや…この先どうなるのあそこ……?