文学フリマで買った本。著者はいわゆる第一世代SF作家の一人だけれど、正直短編をいくつか読んだかもしれないな……ぐらいのところで。代表作「太陽風交点」「バビロニア・ウェーブ」どちらも読んではいないけれど、古いジュブナイルSFに興味があって読んでみる。古い作品だろうと思っていたので、1970年代から始まる収録作の初出が90年代にまで及んでいたのはちょっと驚いた。単行本発収録という作品も多く、巻末には小松左京脚本による人形アニメの絵コンテと、作品制作に関する思い出が語られる。
収録作のテーマは軌道エレベーターやスペースコロニー、未来予測技術、火星テラフォーミングやコンピューター管理都市など。どれも共通して「未来」を描いているんだけれど、「SFは予言ではない」という言葉をあらためて思います*1。ここに描かれた世界は未来予測というよりは夢物語に近いものだけれど、SFが若年層に夢を提示する役割を持っていた時代の記録ではある。
他愛ない、言ってしまえばそうなのかも知れない。「高2コース」に掲載された作品は、高校2年生が読む小説としてはちょっと内容が幼過ぎるんじゃないかと、そこは少し気になった。夢のような未来技術・未来社会に突然事故が起こり、なんだかんだで解決するような話は、ちょっとサンダーバードみたいだな。
「地球は青い宝石」が1991年初出と最も新しく、これペップ出版の「ペップ21世紀ライブラリー」として刊行されたもので、元本はどうもかなりのレアものらしい。内容は火星のテラフォーミング計画を背景にタカシ少年と珪素生命体(だろう)ルビィとの友情を描いたものなのだけれど、2億年という長い時間を生きてきたルビィが小学生の隆に対してかける言葉が、ちょっと浸みる。
「きみは、これから成長する。ぼくは、かわらない。」
「きみたち地球人は、そうして成長していくんだよ。ぼくはかわらない、かわれないんだよ」
ああ、ジュブナイルってね、いいですよね。
かつてSFはジュブナイル小説群の中でも大きな位置を占めていました。自分もいろんな叢書で良質のSFに接したものです。翻って、いまはどうなんだろう?ハヤカワが児童文庫を始めた時には大いに期待したものだけれど、なかなかそうはならんもので。
こういう話をするとよく「SFは小松左京言うところの拡散と浸透したのだ。だからこれでいいのだ」みたいなリアクションを見る。それは確かにその通りで、小説以外の分野でSFは拡散と浸透している。だとすれば、いま児童文庫ラインナップの中核を占めるミステリーとホラー(怪談)は拡散と浸透していないのか?
そんなわけないじゃん(´・ω・`)
てなことを考えました。