ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

エミリー・テッシュ「宙の復讐者」

冒頭にいきなりこんな注意書きが掲げられててビビる。

いやー、しんどかったよ?宇宙に進出した人類が恒星間知的連合みたいなものに敗れて母星を破壊され、唯一生き残ったグループがガイアステーションなる小惑星要塞でコロニー集団を形成しているところから話が始まるんだけど、そこが強烈な男性原理に基づく戦闘カルト組織で、人類のこっち側に属する人間としては微妙に落ち着かない💦 軍国主義、先軍思想的に運営される組織の中で、一定数の女性は「繁殖」任務に就くようなまあそんなとこです。ヒロインのキアは逃亡した双子の兄マグスを追って「外」の世界に出て、薄々感じていた自分たちの組織が秘していた虚偽と世界の真実に気づき、異星人のテクノロジー<叡智(ウィズダム)>によるリセットに巻き込まれて何度となく世界を良い方向に導こうとする、ちょっとまどかマギカのアンサーみたいな話でもある。魔法少女は出て来ないけど。

著者はロンドン出身のイギリス人だけど、アメリカSF界隈の現状とか、現在の世界の惨状とかを強く考えさせられる作品ではあります。それがマチズモvsクィアみたいな構図になるのも、現代の病なのかな。

ガイアステーションでは同年齢の男女それぞれが「寮」に属する班を形成しているのだけれど、キアがリーダーとなっているスパロー寮のメンバーが、当初はギスギスしていたのがループの先で真に友情で結ばれ強権的な支配体制を覆すために立ち上がるのは実に良かった。あと途中で一回「あまりに幸せだけどインチキ」みたいなループやるところも好き。