ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

山尾悠子「山の人魚と虚ろの王」

まあ、わからないよな。山尾悠子の作品というのはストーリーを読むものではないと思うけれど、この話が何を語っているのかというのは、よくわからない。

筋立てを言えば主人公の私と妻との新婚旅行で起きた顛末を綴ったものだけれど、ひとつひとつの情景は謎めき、断片的で、陶酔的でもある。嫌なことがあるとすぐに目を閉じ口角を下げてムッとしている妻は可愛い。

タイトルとなる「山の人魚と虚ろの王」は二人が訪れる「夜の宮殿」で上演されている舞踏の演目名だけれど、葬儀と相続をテーマにしている(らしい)舞踏とともに、私と妻はなにがしかの遺産か権利か、なにかを相続し継承する立場である(らしい)。時折唐突に姿を見せる死した母、現実と幻想との端境は、これまたよくわからない。

わからないものをわからないまま眺める心地よさというのはあって、なにか夢の中を彷徨うような、そういうタイプの幻想小説です。