ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジョン・クリアリー「高く危険な道」

高く危険な道 (角川文庫 赤 538-2)

高く危険な道 (角川文庫 赤 538-2)

古書店で入手。こんな面白い本が品切れ絶版なのはある種の犯罪だと思う。

舞台は第一次世界大戦直後の1920年、主人公は尾羽打ち枯らした元イギリス空軍エースパイロット。アメリカ人の富豪令嬢、かつての仇敵ドイツの男爵、そして謎の東洋人。こんな面子が3機のブリストル・ファイター戦闘機に乗って遥か中国までの航路を…なんて話で冒険が起きない筈も無い。久し振りに再読して、やはり面白い。20世紀初頭、まだ行く先が定まっていない時代の空気(?)とでも言えば良いかな?登場人物は聖人君子ではなく、当時西欧世界に普遍なく存在したであろうアジアへの蔑視を持ち、ロードムービー(いやロードノベルだ)の過程でそれが友情なり信頼なりへと成熟していく。アジアはアジアで混沌只中なのだけれど、西欧に対しての敗北が決定的な訳でもない。未だ出口の見えない時と場所。

男女のロマンスが根底にはあるのだけれど、表立って出さないところは◎。普通なら欲を掻いてそこまで踏み込みそうなものだけれども、微妙なところで立ち止まるのがまた良し。洒脱な大人のお話ですな。

しかし、実は問題が二つある。この作品「ハイ・ロード」というタイトルで映画化され、角川文庫版はタイアップされた表紙になっている。極めてセンスの無いデザインで、初読時に躊躇した覚えが。中味はオススメです。

もう一点。

これ読んじゃうと…佐々○譲の…「ベル○ン飛行○令」が…さっぱり面白くないのである…

いやまあ、それが問題かどうかは別として。

あ!そうそう!!十数年前「タクティクス」誌で「ジェームズ・ボンド007RPG」リプレイ読んでた同志は親を死地に入れて*1でも読むべし!べしったらべし!!!

*1:誤変換だが誤用ではない