ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

「機動警察パトレイバーEZY File2」見てきました

前回の感想とか。

今回良かった点

・押井色が全然無かった

・十和のキャラはかなり面白かった

・クラブマンとの三軒茶屋バトルはよかった。正直この路線で都内のいろんな街を見せるような話でいいんじゃないかとも思う。

 

しかし押井色が無いからと言って話が面白くなるのかと言われればそうでもないんだよなあ。前回も感じたんだけど、時折「それは警官のモラルとしてどうなんだ」という行動を、ギャグに限らずキャラが取るのでそこはだいぶ気になる。昔のパトレイバーも大概だったけど、「警官のモラル」は守っていたように思うわけで。

遊馬はともかく、後藤さんはどう扱うんだろう?File3の予告で甲斐みたいなかけそばの食い方するヤツは一体。

「あさき夢みし」がヤマト2199の幻覚攻撃回みたいだなーと思ってたら脚本演出とも出渕裕で、そこは笑いました。

<追記>

気になる点

・アバンタイトルのイラストは「第一小隊の歴史」なのか?次回はピースメーカーだったりするんだろうか?

・林原めぐみ演じるところの佐伯小隊長、さすがの貫禄な割には何ひとつ仕事してねえ(´・ω・`)

サラ・ブルックス「侵蝕列車」

寝台列車はひとつの「館」だと看破したのはクリスティーだけど、スチームパンク風オルタネイティブ19世紀を舞台に北京=モスクワ間を疾駆する巨大なシベリア横断急行をいわばグランドホテル形式のような群像劇に構築し、ストルガツキーの「ストーカー」に登場する”ゾーン”のような異界である<荒れ地>の異形さ、奇怪さをグロテスク且つ美しく描いた傑作……というようなことは巻末解説にもある。登場人物は多いけれどストーリーを牽引するのは主に3人。そのうちの女性キャラ2人、シベリア横断会社に勤務に失意のうちに亡くなった父の汚名を返上しようと偽名で列車に乗り込むマリヤと、列車の中で生まれ落ち、そのまま育って乗員として勤務する「列車の子」ウェイウェイのキャラが良かった。以前に事故を起こし中止されていた横断急行が再開されるその旅路を追っていくのだけれど、「事故」の詳細は誰も覚えていない。ストーリーが進むにつれて明かされていくのは事故の秘密ではなく列車そのものに起きていた変異で、かなり驚かされるラストだった。マリヤもウェイウェイも旅の渦中で様々な出来事や人々に出会い、変わっていく。最終的に提示されるビジョンはSFならでは、のものでしょう。スチームパンクの「パンク」部分を大いに掲げるようで、こういうのは好きです。「列車はあらかじめ引かれたレールの上しか走れない」というテーゼに真っ向から歯向かう、そんな感じのもの。

この本を読み終えたのが日帰り旅行中の電車の中なのは、なんか良かった。

そんでエレナのキャラがね、すごくいいのよねって記事で触れてないじゃん!!あれルサールカだよなぁ。

公益社団法人 土木学会 土木学会誌編集委員会・編「モリナガ・ヨウは土木を描く」

先日間々田の車屋美術館で行われた「モリナガ・ヨウのおしごと展 1987-2026―絵本とモケイとじいちゃんと」にて、サイン本を購入。「土木学会誌」表紙を飾ったイラストの解説と、巻末にはそれ以前の連載コラムを収録した内容で、以前刊行された「モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた!」の発展的な内容といえましょうか。

そう感じたのも、本書掲載記事のなかで最もインパクトのあった「福島第一原子力発電所」の廃炉作業の様子が「―土木現場に行ってみた!」の島根原子力発電所建設工事取材と直接繋がるような印象を受けたから、でしょう。

対象となるものは様々で、東北の復興現場や日常の生活に寄り添うような工事、巨大なダムや近代土木遺産など幅広く。そしてどの章でも取材当時の裏話や、資料写真から画面を再構築することの熱量が熱く語られます。取材チーム三人による鼎談形式なんだけど、やっぱり時々モリナガ先生の熱量がユニークなところに傾けられてて面白い(笑)

雑誌では表紙の裏表に別れた一枚絵を見開きで見られるのはよいものですね。レンタルのニッケンを取材した章を見て、鉄道線路も走れる履帯式の重機(軌陸車)のミニチュアが欲しくなりました(笑)

文字だけではない、写真だけでもない、もっと情感に寄せたタイプの、これはやはり記録なのですね。

アガサ・クリスティー「教会で死んだ男」

チョロいオタクなので「名探偵プリキュア!」で本書収録「料理人の失踪」が紹介されたので読んでしまう。たんプリの27話が本作をだいぶリスペクトしてたのはわかりました。ポアロもの11本、ミス・マープル1本、その他1本からなるクリスティー中期の作品集ということだけれどまーなんですな、ホームズは長編より短編の方が面白いなあと思う程度には、ポアロは短編よりも長編が面白いなあとうむうむ。

殺人事件を未然に防ぐ「スズメバチの巣」は異色で、ポアロ・ヘイスティングズ大尉・ジャップ警部のおじさん三人が田舎に小旅行する「マーケット・ベイジングの怪事件」はなんか楽しい。有名なのは「プリマス行き急行列車」かな?これ昔NHKのアニメで見たよなーとか思ったら「消えた料理人」もアニメでやってたのだった(´・ω・`)

 

いくつかのエピソードはデビット・スーシェ主演のドラマで見てると思うけど、さすがによく覚えてないなあ(1stシーズンに「コックを捜せ」有り)

 

解説で関口苑生も書いてることだけれど、クリスティーってロジックよりも「情」の作家だよねえ。

ホビージャパン編集部・編「現代実話怪異録 代々木怪談2026」

現代実話怪異録 代々木怪談2026

現代実話怪異録 代々木怪談2026

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小説投稿サイト「ノベルアップ+」で開催された「怪談コンテスト2025」受賞作を中心に編まれた作品集。最優秀賞作をはじめ投稿作品11本+選考委員による新作2本の計13作を収録。なおコンテスト結果はこちらにあって、受賞作のすべてが載ってる訳ではない。コンテストの募集要項に「アンソロジーに収録するのは実話怪談のみ」とあるので、未掲載の作品は「実話ではない」ということなのかな?しかし「実話怪談」というのも結構な謎で、本書に掲載された作品に書かれた出来事が「実際にあったもの・実際に取材して聞き取ったものです」と言われたらちょっと困ってしまうところなんですが、そこはまあ、あんまり深く考えずに読みました。「いかにもありそうな話」として、現実に寄せたリアリティ、実感を持つ恐怖を題材にしたもの、とでも思えばいいのかな。あと、「談」は多分重要で、怪談とは大勢に語る事・伝えることだ、というのが幻想文学や怪奇小説とはちょっと異なるものなんでしょうね。朗読志向が強めにあるというのも、特徴ではあるか。「怪談とは何ぞや」も、人によって違うというか流派みたいなのありそうなんだけどね。

 

以下、収録作短観

 

三塚章「C3講義室」

大学の教室を舞台に、机の落書きで文通(?)を続ける相手の正体は……?という展開。大学というのは案外人間の気配が薄いところもあって、講義が変われば隣にいる人間も変わったりする。たまたま別の講義で同じ部屋の同じ机を使ってる学生だと思っていたらどんどん距離を詰めていく怖さか。怪異に遭遇した相手は無事逃げ切れたように見えて、その先にまだ距離を詰めてくる怖さ。

 

内田ユライ「要らない御守り」

神社で遭遇した奇怪な人物が無理矢理御守りを押し付けてくる理不尽。行く先々で現われどこか悪意を感じるそのものを受け取ってしまうと、その夜に幽霊じみた存在に襲われる。理由はまったくわからない。理不尽というのは理由のない恐怖で。御守りの中身については最後に開示されるのだけれど、そこに理屈はない。「理由が無いことの恐怖」は小泉八雲の「茶碗の中」以来の、怪談の伝統なのかも知れない。あれ田中芳樹が褒めてたんだよね。

 

はじめアキラ「こえ、こえ、こえ」

妹と電話で話している語り手が、急な地震と共になにか別の家族とチャネリングしてしまうようなお話。語り手自身も過去に震災体験があると布石が置かれているので、急に地震の風景(とはいえ暗闇と声だけ)がシームレスにインサートされ、自然に読めるのに不自然が明記されている記述が巧みに感じました。もしもその不自然さ、異常に気づかなかったら……という、いわば生還者が語る不安。

 

ウエダ コウイチ「ゲームボーイ」

小学校というのもだいぶ残酷なところで、いろんな意味で差異のある、しかもまだ未成熟な人間がひとつところに押し込められる場所ではある。クラスの変なヤツが拾った古いゲームボーイに(そういえばこれは微妙に実名を外しているんだな)呪われるというか祟られるというか、ゲームする少年だからゲームボーイか。盗癖がある子が罰せられるような話ではあるけれど、別段正義が執行されているわけでもない。やはり理不尽さが恐怖の源泉ということか。

 

岡崎昴裕「空き家と幽霊」

住人が無くなり空き家となったばかりの家で不審人物が目撃される。どうも幽霊ぽいというのでじゃあ深夜に現場に行ってみましょう!となる行動力も冷静に考えてみればすごい話なんだけれど、なんだかんだでビデオカメラは幽霊を捉えてしまう。その幽霊はどうやら生前に空き家の住人(故人)と諍いがあり、その事の未練で化けて出ているのでは?と思わせて意外な結末になる。ちょっといい話で終わるんだけど、この題材を扱う時はたぶん注意が必要だとは思う。

 

せなね「オレジャナイ」

仏壇の引き取り先で出会った謎の人間。よく見ると人の顔ではなくゴムマスクを被っているかのよう……というのは中身によっては都市伝説やレプティリアン陰謀論方向の話に持って行けそうだけれど、あえて説明はしないところに恐怖を抱かせるもの。明らかに人の住んでる気配を感じさせない部屋、傷だらけの鏡に刻まれたメッセージ。「何か」を想起させるけれど、それが何かは分からない。謎めいた存在に襲われ九死に一生を得て、という感じ。

 

御家時「撮影担当」

動物園で飼育動物の写真撮影を担当する語り手の撮る写真に、時折子供だけが恐怖を示す。そしてそこに写っていた動物は死んでしまう。「カメラは魂を取るもの」という迷信があるけど、はたしてそれはカメラのせいなのかカメラマンによるのものなのか。ともあれ、結果的にはカメラマンが写真を撮ると何かが死ぬ。という理不尽さに襲われる。ひともまた動物である。

 

図科乃カズ「ポタ、ポタタ」

新社会人の語り手が格安で住んだマンションで遭遇する怪異。エアコンの水漏れ、掃除機に詰まる長い髪の毛。湿気と女気というのも怪談では頻出かもしれない。この話は「なぜか」「なにが」「どうして」という理路が、たぶん収録作ではいちばん明示されていて、一種の地縛霊による祟りだ、という展開を迎える。「あるはずのものがない」「ないはずのものがある」というのも恐怖小説のセオリーなんだけれど、これは後者に属するものか。語り手の住んでいた部屋(部屋番)が実は、と。タイポグラフィが効果的な反面、朗読するとこの良さは失われてしまうよな、とも思うところで。

 

暁月こん「縁なき衆生は度し難し」

怖い、という点ではこの話が一番怖かったんだけれど、変事の相談に乗った相手の境遇を調査して、ほぼ原因を解明し、それでも相手が怪異に取りつかれて、これはもう死んでいるだろうなあという展開なのに、だいぶドライに突き放しちゃうような語り手が怖い。でもそれは正しい読み方なんだろうか???

 

宿屋ヒルベルト「サルガニ池の供犠」

友人から聞かされた古い思い出話の中に現れる謎めいた池。片方しかハサミの無い大量のザリガニ。片腕の老人。謎めいた文言。いわば「箱小説」としての枠組みがある怪談なんだけれど、最後にその枠を壊してくるところが怖さになっている。

※箱小説、というのは冒頭に「これは誰それから聞いた話なんですが」みたいな前提を置いて話しに実感を持たせる手法で、小泉八雲の「雪女」が有名ですね。

 

泥まんじゅう「めぐる」

西国遍路の旅で巡礼者が出会った怪異は……。こちらは最優秀賞を受賞した作品で、途中で語り手ががらりと変わるなど、かなり技巧を用いている。そのうえで「めぐる」というタイトルテーマを補強し、現実に寄り添う範囲で理不尽を描いたもの。改行が多く行開けも多用していて、紙よりもスマホなどの画面で見たらリーダビリティが変わるかもしれない。

 

以下二本は特別審査員書き下ろし作品。

 

斉砂波人「伝えてくれ」

怪談を語る事の意義を伝えるようなストーリー。遊び半分に心霊スポットを訪れた人間が「何か」に出会い、それを連れて来たようなことを伝えると、偶々その場に居合わせた人間へのメッセージとなり救いをもたらす。いちばんさわやかな結末ではあるけれど、その分「作為」も強いなあとは、思います(個人の感想です)

 

夜馬裕「身柄確保は、まだできません」

社用車である地点を走るとラジオに聞こえる謎の無線。よくよく聞けば警察無線のようなそのやりとりは、自分の車を捕まえようとしているらしい。この話も理路というか因果が整っていて、なぜどうしてそれが起きるのかは明示される。理不尽なのは「人違い」をされたからで、なぜ人違いが起きるかと言えば、それは実は幽霊よりも人間が怖いという、重層的な恐怖譚になるもの。しかし会社って学校よりも怖いよな。「会社の怪談」やったら「学校の怪談」より怖いことになりそうだな。

 

そうそう、これは代々木で実際に起きた出来事だと聞いた話なんですが、ある日模型雑誌「ホ〇ージャ〇ン」の編集部員がいつものように出社してみると、編集長が突然退職していて、すべてのPCがクラッシュしてたそうです。怖いですね。

この話には続きがあって、その編集部員という人が次の編集長になったのですが、

ある日別の編集部員が出社すると、その編集長も突然退職していて、すべてのPCがクラッシュしてたそうです。

 

ほんとうに怖いですね。

川村拓「事情を知らない転校生がグイグイくる。」㉔

発売翌日に本屋行ったらどこにも並んでなくて、あまつさえ一軒のお店では「うちは配本無しですね」などと言われてしまう。幸いヨドバシ.comで入手できたけど、ここまでロングテールになると新規参入読者もあまり期待できないだろうし、発行部数は減ってんだろうなあ。正直お話としてはもうずいぶん前にケリがついてあとは周辺キャラの補完みたいな内容がずっと続いてるんだけど、次で完結というアナウンスも無いからあと2巻は続くんだろうな。これ何回言ってるんだ俺(´・ω・`)

 

アレステア・レナルズ「反転領域」

刊行以来各所で絶賛されていた作品を漸く。ネタバレも散々読んじゃったから初読の驚きというよりは答え合わせみたいな読みになっちゃったのは、ちょっと勿体なかったかもです。毎回同じメンバーでループしているようで、実は毎回異なる年代・場所を行く探検隊の、しかし毎回必ず同じシチュエーションに遭遇して主人公サイラス・コードは死を迎え、そして……というもの。探検行の年代が19世紀から段々と進んで行って、最後は(だいぶ古典的な)スペオペになってしまうのはかなり面白かった。毎回サイラスが執筆している「小説」が、どうやら次の探検行の舞台になってるようで。

それらはすべてサイラス・コードが見ていた夢で、では夢見るサイラス・コードとは何者なのか?というのがいちばんの仕掛けなんですね。ところでレナルズって人はゼーガペイン履修済みなんでしょうか?そこがすごく気になった(笑)

木星近傍でジレンマに陥るAIつったら2001年だよなあとも思う。大建築物の正体についてはなにもわからないんだけれど、そうね「探検」を題材にしつつ「探検」がメインテーマではないんだろうなあこれ。むしろAIの人間に対する「信頼と寄り添い」なんだろうか?エイダ・コシルさんかわいい。ちょっとメスガキ味ある( ˘ω˘ )