ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

2022-01-01から1年間の記事一覧

今年の一番について考える。

毎年恒例の…ですが、その前に。 プーチンは直ちに戦争を止めて罪に服せ。 清水寺の坊主が金で雇われてどんな漢字を書こうと関係ないけれど、今年はプーチン戦争のおかげでいろんなものが台無しになった気がする。この変化は不可逆で、進む先に良いことは無い…

池澤春菜「SFのSは、ステキのS+」

SFのSは、ステキのS+ 作者:池澤 春菜 早川書房 Amazon 池澤春菜の中にはヒトが入っている。それは池澤春菜という名前で、池澤春菜をやっている。これはきっとそういう本だ。前作より6年、初出は書いてないけど連載51回から100回までになるのかな?前作…

土屋健「機能獲得の進化史」

機能獲得の進化史 作者:土屋健 みすず書房 Amazon サブタイトルを『化石に見る「眼・顎・翼・あし」の誕生」とし、全体のテーマを「攻撃と防御」「遠隔検知」「あし」「飛行」「愛情」の5つに章立て、それぞれのパートでそれぞれの機能を有するエポックな古…

アンシア・シモンズ「ライトニング・メアリ」

ライトニング・メアリ 竜を発掘した少女 作者:アンシア・シモンズ,カシワイ 岩波書店 Amazon 伝記というより伝記小説。メアリ・アニングの本を読むのは3冊目だけれどあーちなみに前読んだのはこれね。 abogard.hatenadiary.jp abogard.hatenadiary.jp 現在で…

クリス・ネヴィル「ベティアンよ帰れ」

ベティアンよ帰れ (ハヤカワ文庫 SF 74) 作者:クリス・ネヴィル 早川書房 Amazon ハヤカワ文庫SF通巻74という、まあ古典ですね。原著は1970年刊行で、ゼナ・ヘンダースンのピープルシリーズのような「素朴で清貧な古き良きアメリカの片田舎」SFがその年代で…

ガレス・L・パウエル「ガンメタル・ゴースト」

ガンメタル・ゴースト (創元SF文庫) 作者:ガレス・L・パウエル 東京創元社 Amazon アクアク・マカークのキャラはすごく良い。もともとこのキャラありきで短編を書いてそこからいろいろ転がって長編になったというのも頷ける。巻末にはその短編も掲載され…

川村拓「事情を知らない転校生がグイグイくる。」⑬

事情を知らない転校生がグイグイくる。 13巻 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER) 作者:川村拓 スクウェア・エニックス Amazon アニメ化決定おめでとうございます。 しかしどういう風にまとめるんだろうね?主人公2人のキャストにはかなり期待してるんだけ…

柴田勝家「ヒト夜の永い夢」

ヒト夜の永い夢 (ハヤカワ文庫JA) 作者:柴田 勝家 早川書房 Amazon 柴田勝家の長編は初めて読んだな。 ウム、変な話だ。昭和初期を舞台に実在の人物を多数配して幻想的な世界を小説で描くというのはどうやったって「帝都物語」になりそうなものだけれど、「…

松田未来・※Kome「夜光雲のサリッサ 09」

夜光雲のサリッサ(9)【電子限定特典ペーパー付き】 (RYU COMICS) 作者:松田未来,※Kome 徳間書店(リュウ・コミックス) Amazon 月面での戦闘はやはりメインではなく、ウルティムムと共闘し月を占拠したカウシカに立ち向かうIOSS一同、という流れで大気圏上層…

時浜次郎「搾精ハーレム大決闘 早撃ちカノジョと夕陽のタピオカ少年」

搾精ハーレム大決闘 早撃ちカノジョと夕陽のタピオカ少年 (MUJIN COMICS) 連載時タイトルは「タピオカウェスタン」。書影はセンシティブなので自粛。 いや鉄砲だよ?鉄砲の漫画なんだよ!? 考えてみれば茨城県では戦車が走り回ってるんだから埼玉県ではガン…

T・キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」

パン焼き魔法のモーナ、街を救う (ハヤカワ文庫FT) 作者:T キングフィッシャー 早川書房 Amazon 原題を”A WIZARD'S GUIDE TO DEFENSIVE BAKING”という。「救う」と「守る」にはややニュアンスの違いを感じるがまあともかく、評判通りの面白さではある。パン…

津原泰水「ヒッキーヒッキーシェイク」

ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA) 作者:津原 泰水 早川書房 Amazon 3年ぶりに開催された神保町ブックフェスティバルで早川書房の待機列に並んでいて、当日ワゴンで販売されるサイン本一覧の中に本書を見る。先日物故されたばかりの名前に「ああ、…

伊能高史「ガールズ&パンツァー劇場版 variante」8巻

ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 8 ガールズ&パンツァー 劇場版Variante (MFコミックス フラッパーシリーズ) 作者:伊能 高史 KADOKAWA Amazon 完結。 やー、このシリーズ読んでて良かった。全部やり切ったって感じでいい具合に終わった。1巻読んで思っ…

森薫「乙嫁語り」14巻

乙嫁語り 14巻 (青騎士コミックス) 作者:森 薫 KADOKAWA Amazon ずっと馬が走ってます。 アゼル以下三人組に嫁が出来ました。 ほぼそれだけの話なんですが、ほぼそれだけの話でこのボリューム、この濃ゆさ。なかなか出来る事ではありませんね。前巻読んだ時…

十三不塔「ヴィンダウス・エンジン」

ヴィンダウス・エンジン (ハヤカワ文庫JA) 作者:十三 不塔 早川書房 Amazon 第8回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。韓国人の青年男性を主人公に近未来の中国・成都を舞台に描くアクションという構成に、攻めてるなあと感じる。しかしそれを「攻めてる」と…

シェイクスピア「テンペスト」

テンペスト―シェイクスピア全集〈8〉 (ちくま文庫) 作者:ウィリアム シェイクスピア 筑摩書房 Amazon 「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のネタ元だと聴いて読んでみる。なるほどたしかになるほどだ。ヒロインと王子様は出会って3時間で結婚するから、ヒロイン…

乾緑郎「機巧のイヴ 帝都浪漫篇」

機巧のイヴ―帝都浪漫篇―(新潮文庫) 作者:乾緑郎 新潮社 Amazon 「機巧のイヴ」シリーズ三部作の完結編、らしい。第1作*1、2作*2に引き続いてなのだけれどずいぶん間を開けてしまって、おまけに以前NOVAで読んだ番外編というのが実はこの第3作のその後を描…

大森望編「ベストSF2020」

べストSF2020 (竹書房文庫) 竹書房 Amazon 2021年版*1に引き続きというか遡ってか、こっちも読んでみる。シリーズ開始ということで意気込みは強く感じられ、あとがきにゴシップめいた話を書いちゃうところとか鼻白むところも無くはない(笑)2冊読んで気がつ…

藤野可織「爪と目」

爪と目(新潮文庫) 作者:藤野 可織 新潮社 Amazon イタロ・カルヴィーノ「冬の夜ひとりの旅人が」*1に続いて二人称小説を読んでみる。日本人作家で短編作品、2013年第149回芥川賞受賞作ということでたいへん読みやすく、十分歯が立った。語り手は三歳の少女…

深緑野分「戦場のコックたち」

戦場のコックたち (創元推理文庫) 作者:深緑 野分 東京創元社 Amazon 偶々なんだけどこの本読む直前に、現代的なピーラー(皮むき器)というのは1947年にスイス人が発明したものだと知った。じゃあよくある「新兵がジャガイモの皮むき」を第二次世界大戦当時…

大森望編「ベストSF2021」

ベストSF2021 (竹書房文庫, お6-2) (竹書房文庫 お 6-2) 作者:大森 望 竹書房 Amazon 竹書房文庫のこのシリーズに手を出してみる。やや躊躇っていたのは大森・日下コンビの東京創元社年刊日本SF傑作選読んでた頃に、どうも自分に合わない作品は大森選なんじ…

イタロ・カルヴィーノ「冬の夜ひとりの旅人が」

冬の夜ひとりの旅人が (白水Uブックス) 作者:イタロ・カルヴィーノ 白水社 Amazon 二人称小説ってどんなんだろうという参考に読んでみる。イタロ・カルヴィーノは大昔に「まっぷたつの子爵」あたりを読んだような気がするけどよく覚えていないなあ。ぐらいの…

モリナガ・ヨウ「ワールドタンクミュージアム全集」

ワールドタンクミュージアム全集 作者:モリナガ・ヨウ 大日本絵画 Amazon ちょっと前にアーマーモデリング誌で「宮崎駿の世界」特集みたいなことをやってさ、宮崎駿による戦車マンガやエッセイを題材にプラモで再現。みたいな内容で、どれも確かに素晴らしい…

G.G.バイロン、J.W.ポリドリほか「吸血鬼ラスヴァン」

吸血鬼ラスヴァン: 英米古典吸血鬼小説傑作集 作者:G・G・バイロン,J・W・ポリドリ 東京創元社 Amazon 「ドラキュラ以前の吸血鬼小説」をテーマに古典ホラーを集めたアンソロジー。本邦初訳の作品も多く資料的価値も高い。吸血鬼というのは近代になって(そ…

SFマガジン2022年10月号

SFマガジン 2022年 10 月号 早川書房 Amazon 「スタジオぬえ」という名前を知ったのは「プラレス3四郎」で成田シノグの本棚に何かそういうタイトルの本があって…などといきなり古い話をしてみる。スタジオぬえ創立50周年記念特集というのはいろいろと意義深…

ライオネル・ホワイト「気狂いピエロ」

気狂いピエロ (新潮文庫) 作者:ライオネル・ホワイト 新潮社 Amazon 新潮文庫の海外ミステリー読むのもなんか久しぶり。昔からジャン・リュック・ゴダールの映画のタイトルだけ知ってて見たことないんだけれど、原作小説があるとは知らなかった。本書解説に…

ヘンリー・カットナー「ロボットには尻尾がない」

ロボットには尻尾がない 〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短篇集 (竹書房文庫 か 18-1) 作者:ヘンリー・カットナー 竹書房 Amazon 完全にタイトルと装丁だけに惹かれて読み始めて、そもそも何時だれか書いたものなんだ…というのは後から確認したらヘン…

宮澤伊織「神々の歩法」

神々の歩法 (創元日本SF叢書) 作者:宮澤 伊織 東京創元社 Amazon 以前創元SF短編賞を取った作品を連作・単行本化したもの。表題作については『折り紙衛星の伝説」*1で読んでた。が、「ベタな内容だ」とあるだけでほとんど覚えていなかった…。再読してまあ…

読者からの提案。

これはあくまで私見なんだけど、21世紀に入ってそろそろ四半世紀。ミステリー小説になんらかのキーワードや人物、あるいはグループ名として THE RED RUM というのを出すのは、そろそろ禁止事項にしませんか?

C・L・ムーア「大宇宙の魔女」

大宇宙の魔女: ノースウェスト・スミス全短編 (創元SF文庫 ム 1-1) 作者:C・L・ムーア 東京創元社 Amazon 以前はハヤカワSF文庫で3冊出ていたスペースオペラ、ノースウエスト・スミスシリーズを一巻本にまとめて創元から刊行されたもの…なんだけど、2008年に…