ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

2022-01-01から1年間の記事一覧

サラ・ピンスカー「いずれすべては海の中に」

いずれすべては海の中に (竹書房文庫) 作者:サラ・ピンスカー 竹書房 Amazon いろいろと高評価を見て手に取ってみた一冊…なんだけど、残念ながら自分にはあまり合わなかったなあ。ま、そういうこともあるのが本読みです。10年前なら河出の奇想コレクションで…

マイクル・Z・リューイン「探偵学入門」

探偵学入門 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 作者:マイクル・Z・リューイン 早川書房 Amazon なぜかamazonにはポケミス版しか扱いが無いようなんだけど、自分が読んだのはミステリ文庫の「現代短篇の名手たち」シリーズ5巻として刊行されたもので、文庫化に…

川村拓「事情を知らない転校生がグイグイくる。」⑪⑫

事情を知らない転校生がグイグイくる。 11巻 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER) 作者:川村拓 スクウェア・エニックス Amazon 事情を知らない転校生がグイグイくる。 12巻 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER) 作者:川村拓 スクウェア・エニックス Amazon…

むらかわみちお「ガールズ&パンツァー 樅の木と鉄の羽の魔女」下巻

ガールズ&パンツァー 樅の木と鉄の羽の魔女 下 (MFC) 作者:むらかわ みちお,才谷屋 龍一 KADOKAWA Amazon というわけで下巻です。上巻の感想はこちらに。 むらかわみちお「ガールズ&パンツァー 樅の木と鉄の羽の魔女」上巻 - ひとやすみ読書日記(第二版) …

小泉八雲「骨董・怪談」

骨董・怪談: 個人完訳 小泉八雲コレクション 作者:小泉 八雲 河出書房新社 Amazon 平川祐弘による個人完訳コレクションの一冊。あまりに有名な小泉八雲の作品群は、あまりに有名なだけにジュブナイルから一般の文庫に至るまで大抵はセレクトされた「傑作選」…

阿刀田高「黒い回廊」

黒い回廊 阿刀田高傑作短編集 ホラー (集英社文庫) 作者:阿刀田高 集英社 Amazon ホラー小説、怪談の話をツイッターでやりとりしてて、そういえば昔日本の一般向け作家の作品で怖い話があると聞いたなーとふと思い出して。タイトルが「西瓜」だったような気…

カート・ヴォネガット&スザンヌ・マッコーネル「読者に憐れみを」

読者に憐れみを ヴォネガットが教える「書くことについて」 作者:カート・ヴォネガット,スザンヌ・マッコーネル フィルムアート社 Amazon 今は亡きカート・ヴォネガットが1960年代にアイオワ大学で創作論を教えていた際の学生であり、その後も長らく友人であ…

米澤穂信「黒牢城」

黒牢城 (角川書店単行本) 作者:米澤 穂信 KADOKAWA Amazon おそれいりました。 米澤穂信はいろんな話を書くんだなと思わされたのは「折れた竜骨」読んだ時*1だけど、あれから10年経ってまさか時代小説まで書くとは思わなかった。そして時代小説の形式を採っ…

国立近代美術館「ゲルハルト・リヒター展」ほか

公式。現代美術は好きなんだけど、こういうタイプの絵画だけがまとまっているのを見に行ったもんかどうか悩んでいたらSAKさんがレポートされていて、それでちょっと背中を押されて行ってきました。詳しい展示内容についてはこちらをどうぞ。 sakstyle.hatena…

P・W・シンガー、エマーソン・T・ブルッキング「『いいね!』戦争 兵器化するソーシャルメディア」

「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア 作者:P・W・シンガー,エマーソン・T・ブルッキング NHK出版 Amazon 2019年の刊行。シンガーの本は「戦争請負会社」*1と「子ども兵の戦争」*2でずいぶん驚かされたものだけれど、「ロボット兵士の戦争」*3はど…

北野勇作「100文字SF」

100文字SF (ハヤカワ文庫JA) 作者:北野 勇作 早川書房 Amazon 例によってamazonが張り付けるのは電書リンクなんだけれど、例のごとくに読んだのは紙本です。これは結構大事なことで、初出は著者がツイッターの専用アカウントで発表していた作品をまとめた…

伊藤典夫訳・高橋良平編「伊藤典夫翻訳SF傑作選 最初の接触」

伊藤典夫翻訳SF傑作選 最初の接触 (ハヤカワ文庫SF) 作者:マレイ・ラインスター,ジョン・ウインダム,ジェイムズ・ブリッシュ,フィリップ・ホセ・ファーマー,ジェイムズ・ホワイト,デーモン・ナイト,ポール・アンダースン 早川書房 Amazon 伊藤典夫翻訳SF傑作…

ザミャーチン「われら」

われら (光文社古典新訳文庫) 作者:ザミャーチン 光文社 Amazon オーウェルの「一九八四年」に強く影響した作品だという話をアフターシックスジャンクションのロシア・ウクライナ文学回(まー池澤春菜ゲスト回だ)で聴き、読んでみる。 めっちゃ読み辛い話で…

松田未来・※Kome「夜光雲のサリッサ 08」

夜光雲のサリッサ(8)【電子限定特典ペーパー付き】 (RYU COMICS) 作者:松田未来,※Kome 徳間書店(リュウ・コミックス) Amazon 順調に話は広がって「火球の子」が全員そろってもまだ新キャラは出てくる(そして例によって忍に篭絡される)し、新型戦闘機も出…

「劇場版 からかい上手の高木さん」見てきました。

公式。 えーと、

ディーノ・ブッツァーティ「モレル谷の奇蹟」

モレル谷の奇蹟 作者:ディーノ ブッツァーティ 河出書房新社 Amazon あらかじめお断りするとこれは別にファンタジー小説ではない。「小説」ですらない。体裁を見ると絵本のようだけれど「絵本」でもない。では一体何なのかといったら、「架空の聖所で崇めら…

日本SF作家クラブ 編「2084年のSF」

2084年のSF (ハヤカワ文庫JA) 作者:日本SF作家クラブ編 早川書房 Amazon 「ポストコロナのSF」*1に続く日本SF作家クラブ編集によるアンソロジー。前回よりは書き手が若いというか新鋭なのかな?現在から62年先の未来ってまた微妙な近未来ですけど、オー…

樋口恭介編「異常論文」

異常論文 (ハヤカワ文庫JA) 早川書房 Amazon SFマガジン2021年6月号特集をボリュームアップし、ハヤカワ文庫JA通巻1500冊記念として文庫化された話題作。ひとことで言うと、 異常だ。 まあその、読んだというか読みはしたというか目は通したというか。変な本…

シン・ウルトラマン見てきました

公式。 パンフを見ずに本編だけ見た感想をまず書いておくので事実誤認があるかも知れません。それはともかくネタバレ避けに

グラント・キャリン「サターン・デッドヒート」

サターン・デッドヒート (ハヤカワ文庫SF) 作者:黎, 小隅,慧子, 高林,グラント キャリン 早川書房 Amazon 日本SF作家クラブと蔦屋書店の主催で先日開催された「SFカーニバル」。それに併せた選書フェア「日本SF作家クラブが選ぶ偏愛SF200とちょっと」で会長…

さなコン2に参加してみました。

www.pixiv.net さなコン2すなわち「第2回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」です。自分で小説書くのもおよそ15年?ぶりだろうというぐらいの有様ですが、ご興味ありましたら一読ください。参加作品一覧はこちらに。

ナターリヤ・ソコローワ「旅に出るときほほえみを」

旅に出る時ほほえみを (白水Uブックス) 作者:ナターリヤ・ソコローワ 白水社 Amazon ちょっと前に読んで、そのときは感想上げなかったものを再読。 変な話だ。なにしろ昔はサンリオSF文庫で出ていたぐらいだ(さらに前には「怪獣17P」なるタイトルで大光社か…

太田忠司「鬼哭洞事件」

鬼哭洞事件 作者:太田 忠司 東京創元社 Amazon 狩野俊介シリーズ30周年の節目に刊行された11年ぶりの新作。いまは創元なんですね。このシリーズも若いころずいぶん入れ込んで読んだものだけれど、いつのまにか遠ざかってしまっていた。調べてみたら「狩野俊…

池澤春菜・池澤夏樹 訳「無垢の歌」「子供の詩の庭」

無垢の歌 作者:ウィリアム・ブレイク 毎日新聞出版 Amazon 子供の詩の庭 作者:R・L・スティーヴンソン 毎日新聞出版 Amazon 考えてみると詩集の感想というのは書いたことが無い。あまり読まないジャンルでもある。皆無ではないけれど。 池澤春菜嬢・夏樹娘父…

高島雄哉「エンタングル:ガール」文庫版

エンタングル:ガール (創元SF文庫 SFた 3-2) 作者:高島 雄哉 東京創元社 Amazon WEB版*1、書籍版*2に続く3度目の「エンタングル:ガール」。 願わくは本作が、読まれるたびに状態が移り変わる、量子的な『エンタングル:ガール』であらんことを。そしてその…

アニー・ディラード「本を書く」

本を書く (ポケットスタンダード) 作者:アニー ディラード 田畑書店 Amazon タイトル通り「本を書くこと」についての本だけれども、この本を読んだからといって読み手の執筆能力が向上したり、行き詰まっていた原稿に突破点を見いだせたり、喪われた執筆動機…

梶尾真治「サラマンダー殲滅」

サラマンダー殲滅 上 (徳間文庫) 作者:梶尾真治 徳間書店 Amazon サラマンダー殲滅 下 (徳間文庫) 作者:梶尾真治 徳間書店 Amazon いま入手できるのは徳間文庫版なのですね。10代の頃に読んで大変面白かったものを、常々再読したなーと思って漸く。図書館の…

ジョー・ヒル「怪奇疾走」

怪奇疾走 (ハーパーBOOKS) 作者:ジョー ヒル,スティーヴン キング ハーパーコリンズ・ジャパン Amazon 全13本、かなりのボリュームとなる短編集。グロテスクなものからハートフルなもの、様々な作風のものが収録されてジョー・ヒルの多彩さが伺えます。…

ラヴィ・ティドハー「完璧な夏の日」(上)(下)

完璧な夏の日 上 (創元SF文庫) 作者:ラヴィ・ティドハー 東京創元社 Amazon 完璧な夏の日〈下〉 (創元SF文庫) 作者:ラヴィ・ティドハー 東京創元社 Amazon 1930年代、突如として世界各地に現れた超人(オーバーマン、ドイツ語ではユーバーメンシェ)たちに…

砂川文次「小隊」

小隊 (文春e-book) 作者:砂川 文次 文藝春秋 Amazon これ初出は「文學界」なのか。ということは純文学として受け止められた作品というわけですね。刊行当時、約1年前にamazonに掲載されたレビューをみると現代日本で自衛隊とロシア軍が戦火を交えることが「…