ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

小説・SF

三嶋与夢「俺は星間国家の悪徳領主!」1

俺は星間国家の悪徳領主! 1 (オーバーラップ文庫) 作者:三嶋与夢 オーバーラップ Amazon 来年アニメ化されるとかで、とりあえず読んでみる。 以前ツイッターの方で本格ファンタジー論争とかいう不毛な大喜利が弄ばれていた時に、「世の中銀英伝を本格ファン…

辻村深月「小説 映画 ドラえもん のび太の月面探査記」

小説「映画 ドラえもん のび太の月面探査記」 作者:藤子・F・ 不二雄,辻村深月 小学館 Amazon 映画のノベライズだけど、映画もマンガも見ていませんというか、そもそも最近の映画ドラえもんに「原作マンガ」ってあるのかどうかすら知らない。月面の様相を簡…

バリー・B・ロングイヤー ディビット・ジェロルド「映画小説 第5惑星」

第五惑星 (講談社X文庫 42-1) 作者:バリー B.ロングイヤー,デイビッド D.ジェラルド 講談社 Amazon Amazonの登録では何故か第「五」惑星になっている、ようやく探し当てた講談社X文庫版です。いや長かったねえ。原作「わが友なる敵」の感想はこちらに。 abog…

伴名錬 編「新しい世界を生きるための14のSF」

新しい世界を生きるための14のSF (ハヤカワ文庫JA) 早川書房 Amazon なかなか判断に困る。2年前に刊行された、その時点ではまだ単著を刊行していない作家で、「五年後とか十年後とか、書き手たちがそれぞれSF短篇集なりSF長編なり刊行して知名度が高まっ…

SFマガジン2024年10月号

SFマガジン 2024年 10 月号 [雑誌] 早川書房 Amazon 「ファッション&美容SF」特集。ファッションSFでも美容SFでもなく、この2つをセットにしたことで深みが増すのだろうな、と思う。服飾と美は様々な切り口に対応し得る。 分かる話と分からない話に差があり…

バリントン・J・ベイリー「カエアンの聖衣」

カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF) 作者:バリントン J ベイリー 早川書房 Amazon 10代の頃に読んで、いずれ読み直したいなーと思っていた作品を、SFマガジンがファッションSF特集やるというので読む。なおamazonが出してるのは大森望による新訳版…

高島雄哉「ホロニック:ガール」

ホロニック:ガール (創元SF文庫) 作者:高島 雄哉 東京創元社 Amazon ところで、カミナギは俺の嫁なわけですがみなさん、「エンタングル:ガール」に続くこの高島雄哉版ゼーガペインスピンオフ小説「ホロニック:ガール」では俺の嫁大活躍ですよついにネ申で…

石ノ森章太郎 原作「サイボーグ009トリビュート」

サイボーグ009トリビュート (河出文庫 い 42-2) 作者:石ノ森 章太郎 河出書房新社 Amazon サイボーグ009誕生60周年記念の一環として刊行された9人の作家による9本の小説作品を収めた短編集。この本の話を初めて聞いた時に、なぜか頭に浮かんだのは「アイアン…

ケン・リュウ「紙の動物園」

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:ケン リュウ 早川書房 Amazon 「古典SFにはリリカルな話がよくあるけれど、最近の人はそういうの書くんだろうか?」みたいなことをツイートしたらこちらを勧められて、読む。面白かった。 「もののあはれ」だけ…

日本SF作家クラブ 編「AIとSF」

AIとSF (ハヤカワ文庫JA) 早川書房 Amazon 「ポストコロナのSF」「2084年のSF」につづくアンソロジー第3巻。テーマはAI。 abogard.hatenadiary.jp abogard.hatenadiary.jp 刊行からしばらく手を出していなかったのは、「2084年のSF」の時ほど丁寧に読め…

エドガー・ライス・バローズ「[新版]火星のプリンセス」

火星のプリンセス (創元SF文庫) 作者:エドガー・ライス バローズ 東京創元社 Amazon なんとなく手に取ってみる。子どもの頃ジュブナイル版は読んでいたがほとんど記憶はない(かろうじて八本脚の火星馬が「ソート」という名前だったことは憶えている)。東…

ロバート・F・ヤング「時をとめた少女」

時をとめた少女 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ロバート・F・ヤング 早川書房 Amazon てっきり河出で出てたやつの文庫化か何かだと思ってスルーしてたら日本オリジナルの短編集だったんですね。「妖精の棲む樹」は先日「黒い破壊者」で読んだばかりだったんでそこは…

人間六度「スター・シェイカー」

スター・シェイカー (ハヤカワ文庫JA) 作者:人間 六度 早川書房 Amazon 肉体はジャンクションだ! (大声で叫ぶ) やー面白かった。すげー面白かった。「テレポート」というSFでも相当古典的な題材*1を使ってこんなに新しい、こんなに雄大な物語を構築するこ…

空木春宵「感傷ファンタスマゴリィ」

感傷ファンタスマゴリィ (創元日本SF叢書) 作者:空木 春宵 東京創元社 Amazon 「感応グラン=ギニョル」につづく第2作品集。前作の感想はこちら。 abogard.hatenadiary.jp 今回もテーマは繋がっていて、やはり人がアイデンティティを獲得する話。ではある…

池澤春菜「わたしは孤独な星のように」

わたしは孤独な星のように 作者:池澤 春菜 早川書房 Amazon 作家池澤春菜、待望の単著。思い入れが激しくいささか冷静でない気分を自覚しつつ、冷静に感想を記して行こうと思う。「ゲンロン 大森望SF創作講座」第6期に「柿村イサナ」名義で発表したものも含…

中村融・編「黒い破壊者 宇宙生命SF傑作選」

黒い破壊者 (宇宙生命SF傑作選) (創元SF文庫) 作者:A・E・ヴァン・ヴォークト,R・F・ヤングほか 東京創元社 Amazon 創元SF文庫の未読を読んでみるキャンペーン(まだやってたのか)、中村融による日本オリジナル・アンソロジー。刊行当時「言うてもビーグル…

ジョン・スコルジー「怪獣保護協会」

怪獣保護協会 作者:ジョン スコルジー 早川書房 Amazon やー、面白かったですよ。最近は手癖で書いてるんじゃないかって危惧もあったスコルジーですが、やはり上手い人だなあ。ユーモアとウイットに富んだ会話で回していくところ、山あり谷ありのストーリー…

メリッサ・スコット「地球航路」

地球航路 (創元SF文庫 ス 3-4) 作者:メリッサ スコット 東京創元社 Amazon サイレンス・リー三部作、完結編。前二冊の感想はこちら。 abogard.hatenadiary.jp abogard.hatenadiary.jp 人類が広く宇宙に進出している世界で、その始祖の星である地球が封鎖され…

伴名錬・編「日本SFの臨界点 新城カズマ 月を買った御婦人」

日本SFの臨界点 新城カズマ 月を買った御婦人 (ハヤカワ文庫JA) 作者:新城 カズマ 早川書房 Amazon 昔から名前は知ってるけどちゃんと読んだことって無いよなーと思い。少なくともアンソロジーに収録された1本は読んでるのか。 abogard.hatenadiary.jp 「…

メリッサ・スコット「孤独なる静寂」

孤独なる静寂 (創元SF文庫) 作者:メリッサ スコット 東京創元社 Amazon 「天の十二分の五」に続くシリーズ第2段。前巻の感想はこちら。 abogard.hatenadiary.jp スター・ウォーズ旧三部作の影響だろうなんてことを書いているけれど、そもそもキャラクター配…

アルフレッド・ベスター「イヴのいないアダム」

イヴのいないアダム (ベスター傑作選) (創元SF文庫) 作者:アルフレッド・ベスター 東京創元社 Amazon 創元SF文庫の未読を読むキャンペーンです。 「分解された男」「虎よ!虎よ!」あと「ゴーレム100」か。ベスタ―というと長編のイメージなんだけど、こちら…

メリッサ・スコット「天の十二分の五」

天の十二分の五 (創元SF文庫) 作者:メリッサ スコット 東京創元社 Amazon 創元SF文庫の未読を読んでみるキャンペーンその2。以前からタイトルだけは知ってましたねこれ。でも3部作だとは知らなかったし、魔法の力が支配する宇宙が舞台のスペースオペラだと…

R・A・ハインライン「レッド・プラネット」

レッド・プラネット (創元SF文庫) 作者:ロバート・A・ハインライン 東京創元社 Amazon 創元SF文庫の未読を読んでみるキャンペーン(何)ハインラインのジュブナイルSFも色々読んでたけど、これは未読でした。Amazonの書影は現行版が出てるけど、図書館で書庫…

古橋秀之「百万光年のちょっと先」

百万光年のちょっと先 (ジャンプジェイブックスDIGITAL) 作者:古橋秀之,矢吹健太朗 集英社 Amazon もとは徳間の「SF Japan」誌に掲載された作品を集英社から単行本化されたもの。先日「四つのリング」を再読してやはり面白くて、まとめてよんでみようと。ち…

高野史緒「グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船」

グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船 (ハヤカワ文庫JA) 作者:高野 史緒 早川書房 Amazon 刊行以来評判が高かった1冊を神保町ブックフェスティバルでサイン本購入。いろいろと声は聞こえてきたので二人のキャラクターがそれぞれ属するパラレルワールドが交…

ロバート・シルヴァーバーグ「時間線をのぼろう」

時間線をのぼろう【新訳版】 (創元SF文庫) 作者:ロバート・シルヴァーバーグ 東京創元社 Amazon うーん、なんかダメだったなこれ(´・ω・`) 読んだ、という記録だけ残しておく。

宮沢伊織「ウは宇宙ヤバいのウ![新版]」

ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA) 作者:宮澤 伊織 早川書房 Amazon 負けたというのもおこがましいけど、なんか「負けた……!」と感じる一冊。 朝、登校中の女子高生の頭上に巨大隕石が落ちて地球が滅亡するところから始まり、読者に情報を咀嚼…

ハル・クレメント「一千億の針」

一千億の針【新版】 (創元SF文庫) 作者:ハル・クレメント 東京創元社 Amazon さて、どこから書き出しましょうかね。本書はハル・クレメントの名作「20億の針」の続編で、ぼくはその「20億の針」を岩崎書店のジュブナイル版「星からきた探偵」ではじめて読ん…

ブレイク・クラウチ 編「フォワード」

フォワード 未来を視る6つのSF (ハヤカワ文庫SF) 作者:ブレイク クラウチ,ベロニカ ロス,N K ジェミシン,エイモア トールズ,ポール トレンブレイ,アンディ ウィアー 早川書房 Amazon SFは必ずしも未来を題材とするものばかりではないけれど、未来を題材…

人間六度「過去を喰らう」

過去を喰らう (I am here) beyond you. 作者:人間六度 一迅社 Amazon さなコン関連で読んでみようと思い、読む。このひとの作品は以前「2084年のSF」で「星の恋バナ」を読んでいて、たいへん面白かった記憶がありました。(長文エントリーに付き注意) aboga…