ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

デイヴィット・ウェリントン「最後の宇宙飛行士」

正直言っていまひとつだった。あんまりそういうものの感想は書かないことにしているのだけれど、これについては記録しておこうと思う。カバー解説には「名作『宇宙のランデヴー』を彷彿とさせる」とあるけれど、「させる」どころかまんまそれで、オウムアウアであったり事故で一旦挫折しているNASAの宇宙計画であったりと、極めて今日的な題材で『宇宙のランデヴー』をオマージュしたような作品ではある。書影にもある通り宇宙船は火星ロケット計画のオリオン号で、未来の宇宙船はもうシャトル型をしていないんだな…としみじみ感じ入ったりもする。それは良い。途中から展開が『エイリアン』とか『プロメテウス』とかファーストコンタクトホラー風味になり、オチは『スペースカウボーイ』で終わるという既視感全開なのもまあいいでしょう。冷静に考えると全然問題は解決していない終幕なんだけど、その頃には最早どうでもよくなっていたので(えー

主人公はNASAに残された最後の宇宙飛行士資格所持者で、事故で引退していたところを引っ張り出されるんだけど、その割には民間企業がスパスパ宇宙船を(ソユーズベースだ)飛ばしていたり、戦時下でもないのにアメリカ宇宙軍のUAVがロシアの衛星を攻撃していたり、些細なところが妙に鼻につく。けれど一番引っかかったのはそういうところではなくて…

本文中でしばしば登場人物が「独立したインタビューに答える」ようなかたちで、本文ただいま進行中のシーンを回想する台詞が入ってくる文体というかスタイルで、ちょっとヒストリーチャンネルとかのドキュメンタリー風の体裁なんですね。それは面白いなと、期待しちゃったからなんだけど、回想するぐらいだからミッションは成功して全員帰還する流れなんだろうと普通は考える。ところがさっき回想入れてた人物が

_人人人人人人_

> 突然の死 <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

を迎えて、迎えてそして死んだままだ。えっじゃああのインタビューはなんだったの?話のリアリティはどこで担保されているの?なんて思う。死んだと見せて実は生きていたチェックに成功するんだろうかと思うけど

_人人人人人人_

> 次々に死 <

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

で、うん、これインタビュー挿入した意味がないぞ多分。

それでまあオチも綺麗な形に見せているけど、冷静に考えると問題は一切解決していない。それでいいのか。

「問題は一切解決していない」ことを綺麗で雄大に見せていたから『宇宙のランデヴー』は面白かったんだなあと、そこは再認識しました。

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