ツイッターでサメサメ言ってたら本書に収録されている田中啓文の「宇宙サメ戦争」を教示いただいて、読む。かなりの濃厚なパロディで偉い人は好き勝手出来ていいなあと思う反面、この芸風をずっと貫いて偉い人になったんだから、それは決して平坦な道でも無かったろうなぁと思いを馳せる。他の収録作では高山羽根子の「あざらしが丘」だけは既読で、あとは初読。谷山浩子の「夢見」があって、谷山浩子の小説を読むのもずいぶん久しぶりなことです。むかし「アパートの中に観覧車が入ってるミステリー」というのを読んだ記憶があるなあ。文筆活動も長い人だけど、当方あまり縁が無かった。個人的にはアマサワトキオの「赤羽二十四時」が抜群に良い。コンビニとカウボーイとマッドマックス的な、なんだろうなあ。ともかく疾走感のある文章です。草野原々「いつでも、どこでも、永遠に」はうん、いつもの原々先生ですね。藤井太洋「破れたリンカーンの肖像」は地味な立ち上がりから後半一転して派手な展開を(観念的な派手さを備えた展開を)するのが良かった。等々。