面白い。面白かった。けれどどこかでモヤモヤした気持ちを抱いてしまうのは自分がジェンダーのこっち側にいるからであって、ジェンダーの向こう側にいる人たちには、これまでこういうモヤモヤした気持ちを抱きながら接した作品もあったのだろうなと、そんなことを考えました。戦闘的フェミニズムを骨子としたロボット戦闘SFで、中国文化をベースにした未来社会が舞台。登場人物は中国の歴史・伝承上の人物と同じ名前で、同じようなロールを演じる。武則天は九尾の狐で煬広(煬帝)を殺し、李世民のパートナーとなって諸葛亮と司馬懿の指揮下で朱雀のパイロットとして戦う。安禄山はクソ外道。大体そんな感じ(孫悟空とか名前だけ出てくる。天竺に行ったらしい)。
そもそも女性の社会的地位が著しく低い社会――なにしろ纏足が普通に行われている――に於いて、ヒロインが戦い勝ちあがっていく話なんだけれど、単純に男が悪いではなくて、悪いのは社会そのものであり、自らを害するならば家族と言えども容赦しない苛烈さは良かった。途中から女ひとり男ふたりの奇妙な共同生活が始まり「プラトニック3P」みたいになるのはうん、まあ、その、ね。
カバーイラストはじめメカデザインは日本オリジナルの物であり作者はずいぶん喜んだらしい。もともと「ダーリン・イン・ザ・フランキス」を見て、確かその結末に不満を覚えて書いたということで、俺未見なのよねあれ(´・ω・`) 履修済みの人なら比較することも出来るのかな?各機体が(有力な機体が)動物型の標準形態から人型の起立形態、さらに大型で強力な英雄形態へと変貌するのはなんか「ヤマトタケル」みたいだなあとは思いましたが。
まあ底辺女性のサバイバルストーリーではあるんだけれど、著者近影から湧き上がってくるすさまじい勝ち組オーラがその、なんだな。中国出身で幼少期にカナダに移住するって経歴がうむむむむ。
でも牛ガールコス可愛いです(◜◡◝)←阿呆