ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

神林長平「アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風」

我、読めり。

 

…えっこれじゃダメですか感想としてならこの6文字ですべて言い尽くしてるんですがそうですかダメですか。(・ε・)チェー

 

しかし実際、シリーズ4巻ということで好きな人はもう読んでるだろうしなんなら自分も連載時から読んでるしで今更面白さをアピールする必然も本当は無いんだろうが結局のところ感想文というのは99.9999999999999999999999999999999999%が「自分語り」なのであってこの本を通じて何事か自分について語りたいという欲求を満たすためにはいったい何をどう語れば宜しいか。ああでも何も知らない人にこの4巻だけ与えて読ませたらいったいどんな感想を抱くのか、そこは知りたいものだな。

「神林作品の基本は会話によるコントだ」というのは常々主張しているけれど、今回もまさしくそんな感じです。「航空機アクション」要素は無論あるけれど、アクションのさなかでさえ記述されるべき事柄は人と人との会話、人と人ではない知性との対話、コミュニケーションだ。そこで浮かび上がってくるのはアイデンティティの問題で、自我とは何だろう?人は自ずから我となるのか我は自ら人なのか、人でないのか、人でなければ何なのだ。ひとでなしか。大体そういう話なのは不変で、しかし今回、神林長平はなにかを変えてきているなと強く思う。それは連載のペースや、4部が終わればシームレスに5部に移行する執筆態勢であったりもするのだけれど、このハイスピード感に収まらず、作品自体も大きな変化を迎えているように思う。物語の設定としては帯にもあるように「ジャムはすでに地球に侵入している」という重大事案がFAFの立場を揺るがす…のだけれど、相変わらず特殊戦は「それがどうした、俺には関係がない」スタンスで正直なところ緊迫感も悲壮感も、それほどは感じない。敵は変わらずジャムであり、ジャムであればそれを攻撃する。それだけのことなのだ。

変わったのはやはり人の、キャラの在り方かなと思う。今回2人の新キャラクター、日本海軍の丸子璃梨華中尉と同空軍の田村伊歩大尉という女性キャラが登場し、(そしてここ大事なんですが)とても可愛い。これまで雪風シリーズの女性キャラといえばしわしわ婆さんとか年齢不詳のジャーナリストとか得体の知れない女医とかばっかりだったのになんだこの急にプリキュアみたいなその…

いいぞもっとだ、もっとやれ神林(´・ω・`)

対話で話を進めて行く以上、同じ人間だけではいずれ語りは行き詰まる物だから新しい視点、新しい人物は必要となるのでしょう。これまで桂城彰少尉やロンバート大佐が雪風シリーズに注いできた新しい見方・変革の視点が、この2人によって齎せられると信じる。あと丸子中尉は黒髪ストレートの優等生委員長属性持ち眼鏡っ子キャラだと信じる。しかしキャラクターとしては伊歩大尉の方が強く、「カーリー・マー」の章で語られる田村伊歩の一人称で見た特殊戦の様子と自身の内面の在り様は今回特に異彩を放つパートだと思われる。これまで一人称で語りを入れるキャラといえばリン・ジャクスンが居たけれど、ジャーナリストの冷静な(冷静であろうとする)目とも違って、異端であり攻撃的であり独立独歩な女性版深井零ただしパートナーたる雪風は居ない、みたいなキャラはこれまでにない要素で、そして可愛い(大事だ)。

現在連載中の第5部ではまさにいま雪風に乗り込もうとしている彼女がさて物語にどんな変革を与えてくれるのか、それは非常に楽しみですが

 

やはり神林長平原作で「ふたりは戦闘妖精プリキュア」とかやるべき。零とブッカー少佐のコンビでも可( ˘ω˘ )