ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

メリッサ・スコット「孤独なる静寂」

「天の十二分の五」に続くシリーズ第2段。前巻の感想はこちら。

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スター・ウォーズ旧三部作の影響だろうなんてことを書いているけれど、そもそもキャラクター配置がスター・ウォーズep4の変奏なんですね。ルークを女性化してハン・ソロとチューバッカと3人で結婚して、そしてオビワン・ケノービに相当する「師」も現われる。

今回の物語は前作の後段での成り行きから一行のメンバーとなった魔術師イザンバードにより魔術師の教育を受けているサイレンス・リーから始まり、覇国(ヘゲモニー)からの追っ手を逃れて地球行の手掛かりを持つと目されたイザンバードの旧友のもとを訪れる一行。その旧友であり惑星イナリメ総督でもあるアデベンは覇王(ヘゲモン)への叛意を持ち蜂起の計画を準備していた。しかしアデベンの娘、貴姫アイリは覇王の人質として女宮での軟禁生活を送っている。そこでアデベンは手掛かりと引き換えにアイリを救い出す取引を持ち掛ける。当然白羽の矢が立つのはこの世界唯一の女パイロットにして宇宙船乗りのサイレンス・リーなのであった……!

という、実に分かり易い「おつかいミッション」を課せられることころもSW的だなと思うのです。ep5「帝国の逆襲」ってそれでしょう?ともかく、本書後半はほぼ覇国の首都(主星)アンシャール・アステオリナの女宮を舞台としての潜入作戦と、そこで生じるいくつかの出会いが主となります。前作でちょっと出てきた覇国の軍人マーシニク少尉が、中尉に昇進して意外な形でサイレンスと再会するところは面白かった。彼を良い人に描いてたのは布石だったんだろうか?

前作今回とも主人公たちは軍事作戦に巻き込まれるのだけれど、前作も今回も軍事作戦自体はどこか杜撰で、なんとなく軍事というか「男性軍事社会」へのジェンダー的な視線は感じます。ラストバトルで反乱軍艦隊大ピンチをサイレンス・リーの魔術で全部ひっくり返して、おまけに覇王もそこで死んでたらしく、クーデターの立役者になってしまったのは出来過ぎじゃないかとも思うのだけれど。まあ女宮を脱出する機会が「皇妃の婚約を祝って深夜に開催される水鉄砲を使ったサバイバルゲーム的遊戯を利用して」というのもえーそれはなんですかそれはーてな感じもしますが、まあそういうものだ。セイキ姫かわいい。アニメ化したら小原好美さんが声を担当されるとよろしい(決めんな)

次回最終巻な訳ですが、今回の展開で新体制の完全なバックアップを得られるようになった一行が、ではどんなドラマツルギーで冒険するのかは、逆に興味が湧きました(笑)