なぜかamazonにはポケミス版しか扱いが無いようなんだけど、自分が読んだのはミステリ文庫の「現代短篇の名手たち」シリーズ5巻として刊行されたもので、文庫化にあたって収録作が6本減ってるのだそうな*1。まあ、それはともかく今月のミステリマガジンで特集組んでて久しぶりに名前を見ました。昔は色々読んだもので、当時は「Z・リューイン」とか呼んでいた*2なあ、いまじゃ「Z」は変なイメージが付いてしまってなんて、いろいろ考えるのもイマドキならではかも知れない。
巻末のリストを見ると「負け犬」ぐらいまでは読んでいたかな?その頃はリューインがアメリカ生まれでイギリスに移住した作家だということを深く考えてなかったんだけど、本書収録作品を見ると、アメリカで産まれてイギリスに移住した作家が書いたイギリスの物語だったり、アメリカで産まれてイギリスに移住した作家が書いたアメリカの物語だったりすることが、まあよくわかります。全体としては小粒で、微妙なものも多い。主にノン・シリーズ作品なんだけどシリーズ番外編みたいなものもあって、「夜警」はパウダー警部補シリーズの番外編で、日本読者向けのサービスとしてミステリマガジンに書き下ろされた作品です*3。内容はインディアナポリスに日本からやってきたライターが、観光と資本誘致の記事取材のためひと晩パトカーに同乗する話でって、1998年の執筆当時もまだまだ日本の景気は良かったんだなと思わされる、そういう時代性。
時代性、だよなー。副大統領ダニーというシリーズ、シリーズというか本書に入ってる2本で全てなんだそうだけど、これはアメリカの副大統領がただ阿呆なことを言ってるだけで、その周囲で事件が起きて解決に至る一種のバカミスなんですが、何が面白いかってその副大統領ダニーって実在のダン・クエール*4でさ(笑)。これ当時のことが解ってないとただのヘンな話だろうなーと、ちょうどこの本読んでたら最近の小学生と「ごんぎつね」の読解についての議論があって…
まあねえ、作品の時代性を知らずに読んだら誤読することもありましょうよ。いまの人にわかりやすく説明すると、例えば「小泉進次郎がただ進次郎構文で話しているうちにその周囲で事件が起きて解決に至るようなミステリ」とでも言えばいいのだろうか。わかりづらいか。
収録作の中では「ミスター・ハード・マン」というのが良かった。アメリカに生まれてイギリスに移住した作家が書いた、アメリカとイギリスの差異を上手く料理した、短いながら味わいある逸品です。ただこれシリーズ物のパイロット版というか第1作らしいんだけど、ちゃんと続きは出せたんだろうか?ミステリマガジン読んどかないとな。