- 作者: アガサ・クリスティー,加島祥造
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/11/11
- メディア: 文庫
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ミステリマガジンでやってたポアロ作品ベストで上位の作品は大抵読んでいたけれどこれは未読だったもの。シリーズ晩年(1953)の作品ですね。
病死した大富豪の葬儀を終えて、ひとくせもふたくせもありそうな相続人たちが顔を合わせるなか、ひとりがうっかり口を滑らせて殺人の可能性を示唆し、その場は冗談で紛らわせても翌日その人物が何者かに、まるで秘密が明らかになることを恐れたかのように殺害され・・・という、ある意味では王道の遺産相続モノ、とでも言うべきか。
トリックやロジックより意外性とサスペンスで読ませるところは常に変わらず、いざ真犯人が暴かれるや前段のあの記述は伏線だったのか!と唸らされる。流石に巧妙な一本と言えましょうか。作中でポアロが身分を隠して関係者一同に近づく際に、アルファベット五文字の頭文字で示される、いかにも胡散臭い国連下部組織の名を騙るのが時代性を感じて中々に楽しい(w
読み終えてあらためてタイトルを――特に原題を――見直すとなるほどなあと納得する、その辺もまた巧妙です。