ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

アガサ・クリスティー「ビッグ4」

ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

エルキュール・ポアロといえば世界でも有数に愛されるキャラクターであり、彼が登場する作品もまた多くの人に愛されています。が、しかしこの「ビッグ4」を愛する人はあまりいないと思われる。むしろポアロを愛する多くの人が、この作品については読んでいないかそもそも存在すら知らなかったりするんではあるまいか。

なにしろぶっちゃけしょーもないお話しです(笑)謎の中国人に率いられた秘密結社「ビッグ4」の世界征服の野望と戦う名探偵エルキュール・ポアロの大活躍ってまークリスティは本格推理の他にスリラー、サスペンスも愛したとよく聞くけれど(実際晩年までそういう作品を書いているけど*1 )、サスペンスというかパルプミステリーに近い感覚である。ノックスの十戒で「中国人を出してはイカン」というのは別に人種差別ではなくてオールマイティでハンズフリーな非現実的キャラクターを「中国人である」という手軽なエクスキューズで多用してはいけないと、だいたいそういうことですね。ニンジャなら仕方ない。

ヘラクレスの冒険」*2エルキュール・ポアロには実は双子の兄がいて…なんて書かれててひっくり返ったものだけど、なるほどそういうことでしたか。その「ヘラクレスの冒険」で大きな役割を果たしていたロサコフ伯爵夫人も本作の登場人物で、読者側の評価が低い本作でも、著者クリスティーは愛していたのかな…と思わされた。

しかしヘイスティングス大尉は邪魔を通り越してGURPSの「足手まとい」みたいなキャラだな(笑)