ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

大森望編「ベストSF2021」

竹書房文庫のこのシリーズに手を出してみる。やや躊躇っていたのは大森・日下コンビの東京創元社年刊日本SF傑作選読んでた頃に、どうも自分に合わない作品は大森選なんじゃあるまいか…と疑っていたからなんだけど、やはりどうもというか何というかあーこーゆー作風のが載ってくるのはたぶんそうなんだろうなあと。とはいえヒットするものも無論あり、巻末の概況は読み応えあるしでしばらく読んで行こうかな。

本書に収録されたものは2020年に発表された作品群なので、執筆時期を考えたらまだコロナとかパンデミックとかそういう話にはならないのね。それで「異常論文」*1の元になった柴田勝家「クランツマンの秘仏」が入っている、そういうタイミングのものです。しかし「クランツマンの秘仏」面白いんだけど別にこれ論文じゃないよな?フェイク・ドキュメンタリーのスタイルで書かれた疑似ノンフィクションのような作品で、同著者の作品で言えば『アメリカン・ブッダ*2収録の「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」みたいなタイプだねとあらためて。

牧野修の「馬鹿な奴から死んでいく」と斜線堂有紀「本の背骨が最後に残る」の2本がとりわけ良かったのだけれど、これどちらも初出は「異形コレクション」でグロ風味、特に後者はリョナっぽい。なるほどよくわかりました。変なのは俺の方だな(´・ω・`)