ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

ジェシー・ダグラス・ケルーシュ「不死の怪物」

不死の怪物 (文春文庫)

不死の怪物 (文春文庫)

いわゆるゴースト・ハンターものな英国恐怖小説。この手の話は大抵オッサン的作家によるオッサン的探偵が主人公を張る物だけれど、本作の主人公ルナ・バーテンデールは極めて珍しいことに「美貌の霊能者にして高名な心霊探偵」で、それもそのはず作者も女性なのであった。
旧家に伝わる中世以来の呪いという一種ゴシック的な怪異(真実はそれどころではないのだが)を扱っているのにも係わらず、それらを解明するに四次元や五次元といった単語を用いるのは如何にも1920年代の作品だな、とは思う。そしていささか性差別的な言質を許していただければ、女性作家によるものからかこの種の作品にしては珍しくラブロマンス要素が強い。

以下ネタバレなんで隠します。物語の核心、ラストにまで触れてますんで注意。

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