ひとやすみ読書日記(第二版)

最近あんまり読んでませんが

マシュー・ベネット(他)「戦闘技術の歴史 2 中世編」

戦闘技術の歴史 2 中世編 AD500-AD1500

戦闘技術の歴史 2 中世編 AD500-AD1500

なぜか世界線を遡って読んでいるシリーズ第2巻。「中世は暗黒の時代だとよく言われるが、実際はそうではない」と、中世を扱った歴史本では大抵言われているので、そろそろ読者の方にも中世は暗黒の時代だなんて前提条件は喪失してるんではないだろうか、などと思いつつ(笑)

馬の時代、騎士の時代は騎兵の時代でもあるけれどかなりの頻度で装甲騎兵が下馬戦闘を行い、しばしば歩兵の中核ともなっていたり、高度に訓練された槍兵隊列ならば騎兵突撃に打ち勝つだけの士気と能力を発揮できたりで、漠然と感じていた「中世」の情景に修正を加える要素が多く見られる。ヨーロッパ社会だけに限らずヨーロッパに侵入してきた勢力の解説もありでモンゴル騎兵とかオスマントルコの大砲とかも楽しめます。フス戦争の装甲荷車はどこまで現代戦車の御先祖様万々歳であろうか。モバイル城砦とでも言った方がよいのか…

そのむかし日本に「D&D」が導入されたころは「ファンタジー世界は永遠に中世である」なんて言われながらも世界設定としては少しも「中世」ではないファンタジー小説やマンガやアニメなんかが大量生産されたものですが、あれから四半世紀も過ぎたら「ファンタジー世界は永遠に中二である」的状況の現在。